検索
主なテーマ一覧

【オリエンタルランド秘史#9】旧建設省の族議員を相手に政界工作に奔走した高橋政知

シリーズ#1はこちら

社会問題に無関心を装う日本側の経営陣

#8から続くX(旧ツイッター)オーナーのイーロン・マスクによるウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)への口撃が止まらない。DISで最高経営責任者(CEO)を務めるボブ・アイガーに対して「ただちに解雇されるべき」とXに投稿した。

発端は11月15日、Xに寄せられた反ユダヤ主義と見られる投稿にマスクが賛同するコメントを載せたことだった。それを問題視したDISはXへの広告出稿をストップした。Xにとって広告は売上高の9割を占める経営の要(かなめ)。IBMやアップルも出稿を取り止めたが、マスクが特に反発したのがDISに対してだった。

12月6日、米ニューメキシコ州は未成年者を人身売買や児童ポルノから保護する対策を怠ったとしてメタとCEOのマーク・ザッカーバーグを提訴した。にもかかわらず、一番子どもを守らなければならないはずのディズニーはメタが運営するフェイスブックとインスタグラムに広告を掲載し続けていると、そのダブルスタンダードをマスクは激しい言葉で非難したのである。

マスクの発言に対しDISのアイガーは目に見える形では反応していないが、この著名な実業家もしばしば政治的立場を明確にする。2022年3月、フロリダ州で性的マイノリティを差別する「Don’t say gay(ゲイと言ってはいけない)」法案が可決されると、DISは反対声明を発表。さらにDISはアイガーの指示で劇場作品にゲイやノンバイナリ―(男女のどちらにも属さないと自認する人々)のキャラクターを登場させた。

一方、DISと密接な関係にあるオリエンタルランドは社会問題に対してアンタッチャブルの姿勢を貫いている。政治にコミットするような問題はなおさらである。日本企業の多くがそうであるように、その立場を明確にすることはプラスにならないと考えているからだ。米国で起こっている現実はオリエンタルランドの経営陣にとっては対岸の火事に過ぎないのである。無関心であり続けるのが賢明だと――。

だが、オリエンタルランドがディズニーランドを日本につくるという目的を実現するには、政治と無縁であり続けることは許されなかった。むしろ、その力をいかに利用するか、腐心しなければならなかったのである。

いち早く記事をお届け!【ガバナンスQメルマガ】登録はこちら
一難去ってまた一難、新たな横槍が… 高橋政知…
1 2

ランキング記事

【PR】riskey リスクアラートシステム
【PR】内部通報サービス無料オンデマンドセミナー

ピックアップ

  1. 【子会社ガバナンス#3】「親会社からの天下り」人事が子会社の成長を阻害する…

    #1、#2では実例を引き合いに出して、子会社のコーポレートガバナンスが機能不全に陥り、ひいてはグループ全体のガバナンスを阻害しかねない状況を…

  2. 【子会社ガバナンス#2】適切な事業ポートフォリオの構築が難しい理由…

    #1では大手企業の不動産子会社を例に、子会社のガバナンス不全があわや不祥事を生み出しかねない危険性を伝えた。続く#2では、新設子会社、あるい…

  3. 【子会社ガバナンス#1】大企業の「不動産子会社」で不祥事が起きた背景…

    子会社・関連会社までを含めたグループ全体のコーポレートガバナンスが求められる大手企業。一方、大手企業グループには必ずと言っていいほど、不動産…

  4. 「リスク情報収集」を自動化する最適なネット検索ツールとは…

    (前編から続く)リスク情報の収集には、時として正確性よりもスピードが求められる。その際、ネット上の情報をいかに集めるかが、勝負の分かれ目とな…

  5. 企業担当者を悩ます「リスク情報収集」の死角…

    「仕事とはいえ、パソコンに向かい合ってネット上で関係先のリスク情報をチェックするのは、身心ともに疲れ果ててしまう」――。あるメーカーで与信管…

  6. 第13回【JAL植木義晴×八田進二#3】CA出身「鳥取新社長」を一丸で支える使命…

    (#2から続く)八田進二・青山学院大学名誉教授が各界の注目人物と「ガバナンス」をテーマに縦横無尽に語り合う大型対談企画。今回のゲストは、JA…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス