検索
主なテーマ一覧

【オリエンタルランド秘史#13】大株主・三井不動産が潰そうとした「ディズニーランド計画」

シリーズ#1はこちら

東京ディズニーリゾート「2076年」までのライセンス契約

#12から続く今年6月にオープンする東京ディズニーシー(TDS)の新エリア「ファンタジースプリングス」(#12参照)の建設が決まった2018年6月、オリエンタルランドとウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)の間で東京ディズニーリゾート(TDR)のライセンス契約の延長が締結された。ロイヤルティーとして入園料の10%などをDISに支払う現行の内容を最長で2076年まで延長するというものだ。

1979年4月30日、オリエンタルランド社長の高橋政知とDIS(当時の社名=ウォルト・ディズニー・プロダクションズ)社長のカードン・ウォーカーは「東京ディズニーランド(TDL)の建設および運営に関する契約」に調印した。開園の1983年から45年という契約だった。契約期間の延長は今回で2回目。最初の延長については、TDSの開発が決まった時に合意した。TDLを含めたTDRのライセンス契約はTDS開園(2001年)から45年(2046年まで)に改められた。それが今回の新エリア拡張で、さらに30年延長されたことになる。

DISにとってこうした契約方式は、実はオリエンタルランドに対してだけのもの。ディズニーのテーマパークは世界に6カ所あるが、他の5カ所は実質的にはDISの直営なのだ。米国内の2カ所(カリフォルニア、フロリダ)は元より、ディズニーランド・パリを経営していた合弁会社も2017年にDISの完全子会社になった。香港はDISと地元政府による経営。上海はDISと中国国有企業が設立した合弁会社が運営している。

一方、TDRにはDISの資金が一切、投入されておらず、オリエンタルランド単独の経営となっている。また、DISはオリエンタルランド本体にも1円たりとも資本参加していない。となると、独自性が発揮できそうだが、オリエンタルランドがそうした立場に立ったことは一度もない。主導権はあくまでもDIS側にあり、その方針を逸脱することはできないのだ。

ディズニーのキャラクターの権利をまったく持っていない以上、致し方ないとはいえ、相手に頭が上がらない関係は誘致に向けた交渉が始まってからずっと続いている。だが、抵抗を試みようとした人物が日本側にいなかったわけではない。米国の外に初めてディズニーランドを創った最大の功労者であるオリエンタルランド2代目社長の高橋政知も、当初は激しく反発していた。

いち早く記事をお届け!【ガバナンスQメルマガ】登録はこちら
三菱地所も誘致合戦に参入 1971年10月、D…
1 2

ランキング記事

【PR】内部通報サービス無料オンデマンドセミナー

ピックアップ

  1. 【会計士「自主規制」機能喪失#2】監督当局の手に落ちた”会計プロフェッション”の倫理基準…

    (#1から続く)会計士を“閉鎖的社会における専門家集団”のように扱い、プロフェッションとしての自主規制を有名無実化させようとする国際会計士倫…

  2. 【会計士「自主規制」機能喪失#1】会計士の“職域”を溶かす「サステナ情報保証」という外圧…

    《過度な節税指南に待った 会計士倫理の国際組織が新基準 議長「企業の評判にリスク」》――。日本経済新聞(6月27日付朝刊)にこんなタイトルの…

  3. ブラジル「改正独禁法」解説《後編》現地弁護士が教える改正のポイント…

    レオポルド・パゴット(Leopoldo Pagotto):弁護士(ブラジル在住) (前編から続く)ブラジルにおける競争法の最新事情について、…

  4. 【経営者と女性スキャンダル#5】醜聞が明るみに出た“マル恥”企業トップ10人…

    (特集#1、#2、#3、#4から続く)「愛人を持つことは男の甲斐性」などと言われた時代もあったようだが、いまやそれは大昔の話。「コーポレート…

  5. 今さらの「政策保有株削減」に経営改革は期待できるか【ガバナンス時評#19】…

    八田進二:青山学院大学名誉教授 3月末までに開示された東証プライム上場企業のコーポレートガバナンス報告書を集計したあずさ監査法人によると、プ…

  6. ブラジル「改正独禁法」解説《前編》現地弁護士が教える改正のポイント…

    レオポルド・パゴット(Leopoldo Pagotto):弁護士(ブラジル在住) 今回は、ブラジルにおける競争法の最新事情をお伝えしたい。著…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス