「リスク情報収集」を自動化する最適なネット検索ツールとは

(前編から続く)リスク情報の収集には、時として正確性よりもスピードが求められる。その際、ネット上の情報をいかに集めるかが、勝負の分かれ目となる。しかし、”人力”での情報収集では、担当者の負担はあまりに重い。その際、役に立つのがネット検索ツールなのだが、そこにも一長一短があるようで……。
情報収集”自動化”のために
「やはり、情報収集を自動化することが必要でしょう。ツールなどを利用すれば、担当者の負担を大きく減らすことができます」(淺田氏)
実際、この手の情報収集ツールはすでにいくつかのサービスが提供されているが、新規を含む取引先や採用予定者などが、暴力団をはじめとする反社会的勢力と関係を有していないかを調査するコンプライアンス調査、いわゆる「反社チェック」はその際たるものと言える。この場合、自社や取引先など、調査したい法人や個人の名前を入力して、過去の新聞記事などをもとにスクリーニングをかけるという手法が一般的だ。法人名・人名と、「逮捕」や「送検」「摘発」、あるいは「詐欺」、「暴力団」「半グレ」といったネガティブワードを掛け合わせることで調査を進めていく。
確かに、自動化によって担当者の負担は軽くなるが、課題もある。
そのひとつが、アラート(警告)機能が搭載されているかどうか。というのも、特に反社チェックの場合、新規に取引を開始した時点では該当する記事やネット情報がなかったにもかかわらず、その後になって、ネガティブ情報が判明、あるいは出現するケースもある。そのため、継続したモニタリングが必要になるわけだが、同じ法人や人物について定期的に、新たにチェックを掛け直すのでは効率が悪い。この際、ツール上で自動的にモニタリングが行われ、新たなネガティブ情報をキャッチするとアラートを発する機能が備わっていれば、便利この上ないと言える。しかし、「意外と実装されていないサービスは多い」(淺田氏)という。
さらに、犯罪が複雑化し、反社の定義や範囲が刻々と変わっていく現在、どのようなキーワードで掛け合わせるかが、的確な情報を掴むうえで重要になるのは言うまでもない。また、新聞などマスコミ発信の記事は定式化されている一方、ネット情報には有象無象が書き込んでいるものも多く、新聞検索のように一筋縄では的確な情報にたどり着けないこともある。逆に言えば、検索キーワードを実情に即して増やしたり、調整したりすることが、情報をチェックする側に求められるというわけだ。ただ、この検索キーワードひとつをとっても、「自由に設定できるサービスはほとんどありません」(同)。
そして、こうした情報収集の自動サービスを使用しても、担当者を悩ます問題の際たるものが、「検出された情報にノイズが多すぎて、それを仕分けるのに、担当の方が再び苦労してしまうということです」(同)。
これでは何のために自動ツールを使っているのか分からないが、ネット上には記事を引用した記事をまた引用し、それをまた引用し……という形で重複した情報も多く、それらすべてを同一のネット情報として引き出してしまうと、確かにノイズは膨大な量になってしまう。他方、そうした引用記事の中にも新たな情報が含まれている可能性があるから悩ましい。淺田氏が語る。
「この場合、ノイズをいかにキャンセルさせるかが分かれ目になります。引用記事をすべからくカットしてしまうと、本当に求めている情報にたどり着けなくなってしまうこともあるからです。情報は蓄積しつつ、無駄な通知はカットする。こうした機能を実装できるかが、情報収集ツールの良し悪しを決定すると言っても、過言ではありません」
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