【オリエンタルランド秘史#17】ディズニーランド建設費膨張に「三井不動産」最後の横槍
最高益も非正規雇用の賃上げはごくわずか
(#16から続く)2024年3月期、売上高、最終利益とも過去最高を更新するのが確実なオリエンタルランド。この4月から約6%の賃上げを実施すると発表した。大卒・院卒の初任給は1万7000円増やし25万5000円に。一方、全従業員の8割近くを占める「キャスト」と呼ばれる非正規雇用の準社員・アルバイトの時給は一律70円上げ1210~1600円となるが、インパクトはあまりない。キャストの苛酷な労働環境(#3、#12参照)を考えると、人手不足の解消につながる可能性は薄い。
従業員の多くを非正規雇用にとどめ、コスト削減を図る方式は米国に倣ったもの。人々の“夢の国で働きたい”という気持ちを利用してきたと言える。だが、すでにこうしたやり方は行き詰まりを見せている。カリフォルニア州のオクシデンタル大学が2018年に行った調査では、米ディズニーランドの従業員の10人に1人がホームレスで1日に3度の食事をとることができない状態だったという。キャストたちはいつまでもピーターパンではいられないことに気づきだした。裏に隠された真実が広く知られるようになり、人手確保はますます難しくなっている。
今のスタッフの処遇をめぐる問題は知る由もなかったが、夢の国を日本につくろうと邁進していた男たちのロマンは大詰めを迎えていた。
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