(特集#1、#2、#3、#4から続く)「愛人を持つことは男の甲斐性」などと言われた時代もあったようだが、いまやそれは大昔の話。「コーポレートガバナンス」が求められる昨今、企業経営には高い倫理観や規律が求められている。
だが、それらを率先して遵守すべき立場の経営トップ自ら、世間に顔向けできないような私生活上の問題を引き起こすケースが後を絶たない。しかもプライベート空間だけでなく、社内の懇親会でのセクハラ行為や、果ては経費を使って愛人と交際するなど、自らの欲望を充足させていたようなケースも発覚している。その結果、女性問題を端緒に辞任・解任に追い込まれる経営者がいる一方、問題発覚後もどこ吹く風とばかりにトップに居座り続ける殿方も……。
いずれにせよ、不確実なリスクが存在する時代に、上場企業や有名企業を率いる経営トップが個人由来のスキャンダルに塗れること自体、自らの危機管理意識の欠如を露呈している行為と言わざるを得ないのである(金野志保弁護士#4レポート参照)。
そこで本稿では近年、セクシャルハラスメント、不倫や不貞行為、パパ活といった“異性にまつわる問題”を引き起こした有名企業のトップたちをおさらいする。ほとんど経営者が”紳士淑女”であることは重々承知のうえではあるが、経営者諸氏には他山の石としていただきたい。なお、肩書と年齢は発覚当時のもので、当人が疑惑を否定しているケースもある。
【セクハラ】
ストライプインターナショナル
石川康晴社長(50歳)
広報対応:リリース有
2020.03.05 一部報道について
2020.03.05 一部報道に関して当社代表取締役社長石川のコメント
2020.03.06 代表取締役社長辞任と取締役異動に関するお知らせ
2020年3月、若い女性に人気のアパレルブランド「アースミュージック&エコロジー」を展開するストライプインターナショナルの創業社長の石川氏に、過去、複数の女性従業員に対しセクハラ行為をしていたという疑惑が浮上。社内で臨時査問会が開かれていたことが報道された。最終的に社長を辞任した本人は、日本経済新聞の取材に対して「セクハラ行為をした事実はないが、世間を騒がせている責任を取る」と弁明したが、月刊誌『広報会議』のアンケートでは2020年の不祥事企業ランキングで7位にランクイン。消費者からは「ブランドイメージガタ落ち」など厳しい声が上がった。
【不倫】
メドレー
豊田剛一郎代表取締役(37歳)
広報対応:リリース有
2021年2月3日 代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ
2021年2月に『週刊文春』に一般女性との不倫がスクープされた。妻でテレビ朝日出身のフリーアナウンサー、小川彩佳氏とは19年に結婚し、20年には第一子が誕生したが、当該の女性とは結婚当初から不倫関係にあったことが発覚し離婚。その後も、新型コロナウイルス対策の改正特別措置法「まん延防止等重点措置」の最中、グラビアタレントと深夜まで飲み明かす姿が再度『週刊文春』によって報道されてしまった。ちなみに、メドレーは東証プライム上場の医療プラットフォーム企業。医師免許を持つ豊田氏本人は報道後、代表取締役から常勤の取締役に降格し、現在は「オープンイノベーションパートナー」として名を連ねている。
【パパ活】
システナ
逸見愛親会長(66歳)
広報対応:リリース無
2022年7月に『週刊文春』によって、逸見氏がネイルサロンを経営する29歳の女性に惚れ込み、生活費に加えてブランド品の購入や月数回の逢瀬の詳細、そして関係が2年以上にわたっていることがスクープされ、「パパ活」と断じられた。さらに女性に送った〈はい、420万、本日振り込みますね(^_^;)〉、〈いま振り込(ママ)ました!〉、〈逸見は愛している〉などLINEの中身までを暴露。
ちなみに逸見氏は、文春記事によりプライバシー権および名誉権を侵害されたとして東京地裁に記事の削除を要求する仮処分を申し立てたが、地裁はその申し立てをすべて却下した。なお、システナはソフトウェア開発を手掛けるプライム上場企業。逸見氏はその創業者で、現在も代表取締役会長を続けている。
【パパ活】
横浜ゴム
山石昌孝社長(60歳)
広報対応:リリース無
2022年5月、システナと相前後して“文春砲”の餌食となったのが、横浜ゴムの山石社長。東京・銀座のクラブに勤務していた26歳の女子大学院生(当時)に入れ込み、5年以上にわたり「パパ活」をしていたことが報道された。同誌には新型コロナウイルスが流行る最中、防塵マスクと見紛うような重装備ながら、満面の笑みを浮かべ女子大学院生と沖縄を訪れる姿や、免税店でブランド品を購入する現場も撮られてしまった。
文春の直撃取材に「色々教えてもらっている御礼として」「(関係を)清算します」「すごい反省をしている」「自分は軽率だった」……パパ活を否定するコメントを残したが、社長職を辞することもなく、2024年6月現在、代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就いている。なお、その山石氏の座右の銘は「創業守成」(事業を始めるのはたやすいことであるが、それを守り続けるのは難しい)とのこと。
【経費で混浴など】
TOKAIホールディングス
鴇田勝彦社長(77歳)
広報対応:リリース有
2022 年9月15日 代表取締役の異動に関するお知らせ
2022年9月、静岡のコングロマリット企業、TOKAIホールディングス(HD)は取締役会で経費を不適切に利用していたなどとして鴇田社長の解職を決議した。それから3カ月後、同社から提出された第三者員会調査報告書をもとに『週刊文春』や『FLASH』 が報道する事態に発展。会社名義で購入した高級タワーマンションや高級社用車の私的利用に加え、自社ゲストハウスに女性コンパニオンを呼び寄せ44回も露天風呂で混浴を楽しみ、近隣住民からも苦情が来ていたことまで判明した。
なお、鴇田氏は経済産業省出身で、中小企業庁長官まで上り詰めた元高級官僚。退官後にザ・トーカイの社長・会長を経て、持ち株会社発足の11年からはTOKAIHDの社長を務めていた。