検索
主なテーマ一覧

超長期在任トップ「再任賛成率」ランキング#1 上位企業編【株主総会2023】

日本取引所グループも後押しする「優良同族企業」

ちなみに、セーレン副社長の川田浩司氏(52)は川田会長の長男で、いまや代表取締役に上り詰めている。“経営手腕”があるからの抜擢なのだろうが、非創業家出身ながら、息子を右腕にしている格好だ。アークスとニデック以外はトップの親族たちも取締役を務めており、ここまでくれば、上場企業でありながら、“血族”による恒久的な経営支配体制を確立していると言える。とはいえ、アークス以外の9社はPBRは1倍以上で、ファーストリテイリングのように7倍を超える企業もある。つまり、同族経営への疑問の声を経営成績で打ち消している格好だ。

そして、この資本の論理は当該企業だけでなく、資本市場の守り手である日本取引所グループ(JPX)が後押ししている。

JPX傘下の東京証券取引所はさる2023年7月3日、企業の価値創造(資本効率)に着目した新しい株価指数「JPXプライム150指数」を始めた。市場再編後、ややもすると、多すぎると揶揄されてきたプライム市場上場企業1834社から、ES(資本収益性)やPBRなどの基準を満たす150銘柄の株価をもとに算出する指数だ。

このJPXプライム150に、トップ在任が長期にわたる企業から10社が選出された。このうちノエビアHD、ニデック、日清食品HD、ファーストリテイリング、セガサミーHDの5社が長期経営トップ賛成率上位10社の半数を占める。長期の在任をめぐる是非よりも、資本効率の高さこそが市場やステークホルダーが重視している現実を、JPXが図らずも証明している。「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」の言を引くまでもなく、結果を出している以上、当然と言えば、当然ではある。

ところが、JPXプライム150に選出されながら、トップの賛成率が低迷しているトップ長期在任企業も5社ある。次回#2記事では、この5社を中心に賛成率が低かった企業を概観したい。

在任長期トップ企業の多くは創業者・創業一族による支配…
1 2 3

ランキング記事

【PR】内部通報サービス無料オンデマンドセミナー

ピックアップ

  1. 【会計士「自主規制」機能喪失#2】監督当局の手に落ちた”会計プロフェッション”の倫理基準…

    非会計士をも対象にするIESBA設定の「サステナ保証」倫理基準 さらに問題なのは、IESBAが設定する倫理・独立性基準が、特にサステナビリテ…

  2. 【会計士「自主規制」機能喪失#1】会計士の“職域”を溶かす「サステナ情報保証」という外圧…

    会計士に罰則あり、片や非会計士には強制力なしの基準 それはJICPAが発行する『会計・監査ジャーナル』2024年7月号に掲載された、野村アセ…

  3. ブラジル「改正独禁法」解説《後編》現地弁護士が教える改正のポイント…

    コンプライアンスプログラムの利点は、単に罰則を軽減するだけではない。反競争的な慣行を排除することで、企業は訴訟や調査、社会的信用の低下に伴う…

  4. 【経営者と女性スキャンダル#5】醜聞が明るみに出た“マル恥”企業トップ10人…

    (特集#1、#2、#3、#4から続く)「愛人を持つことは男の甲斐性」などと言われた時代もあったようだが、いまやそれは大昔の話。「コーポレート…

  5. 今さらの「政策保有株削減」に経営改革は期待できるか【ガバナンス時評#19】…

    求められる「ぬるま湯構造」からの脱却 3つ目の理由は、企業の横並び意識である。 「持ちつ持たれつ」の日本独自の株式の持ち合い文化は、特に海外…

  6. ブラジル「改正独禁法」解説《前編》現地弁護士が教える改正のポイント…

    リニエンシー申請者の保護 この法律の良い点のひとつは、リニエンシー申請者の保護が強化されたことである。近年、ブラジルではカルテル事件に関する…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス