三栄建築設計「創業者が反社会的勢力と交際疑惑」上場の行方#2
創業元社長の株式持ち分は「48.98%」
「ただ、他の取締役をはじめとする役員たちがどの程度、創業元社長と反社会的勢力との関係を知っていたかという問題がある。また、(現在も創業元社長退任時の取締役・監査役が残っているが)役員の総入れ替えは企業の存続にも直接影響する。他の役員全員に善管注意義務違反まで問えるかどうかは、今後の調査次第と言えるでしょう」(桝井弁護士)
そして、前出の荒井弁護士と同様、やはり、「どうホワイト化を成し遂げるのか」の問題だと言う。
そこで最大の障壁となる可能性が高いのが、元社長の持ち株比率の問題だ。元社長の持ち株比率は、今年2月末時点で48.98%。この持ち株だけをもってしても、創業オーナーの会社への影響力はとてつもなく大きいと言わざるを得ない。
三栄建築設計側は元社長に対し、適時開示で〈株式の処分その他の当社の再建への協力を求めていく所存〉としているが、各種報道によれば、元社長本人は、金員が渡ったとされる当該男性が暴力団幹部とは知らなかったとしているという。結果責任は免れないにせよ、元社長がこの主張を続けている限りは、持ち株の処分はなかなか進まないのではないか。そうなると、会社側の掲げる「影響力遮断」は絵に描いた餅となってしまう。
それでは、今後、三栄建築設計はどのような展開をたどる可能性があるのか。
ピックアップ
- 【2024年10月9日「適時開示ピックアップ」】太洋物産、セブン&アイ、富士精工、タカキュー…
10月9日水曜日の東京株式市場は反発した。日経平均は3万9277円で取引を終えた。この日の適時開示は152件。この中からコーポレートガバナン…
- 池田輝政「無駄なものに出費せず、人に使え」の巻【こんなとこにもガバナンス!#21】…
栗下直也:コラムニスト「こんなとこにもガバナンス!」とは(連載概要ページ) 「無駄なものに出費せず、人に使え」池田輝政(いけだ・てるまさ、戦…
- 【11/8(金)15時 無料ウェビナー】「品質危機」への警鐘《品質不正とガバナンスの最前線・連続ウェ…
本誌「Governance Q」と日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)共催無料連続ウェビナー「品質不正とガバナンスの最前線:公認不…
- 【ガバナンス道場#3】“ポリスマン”か“アドバイザー”か、それが問題だ!?「価値創造・戦略に貢献する…
内部監査の役割を考える 国際的な議論の方向性~戦略的アドバイザー、イネイブラー~ 奇しくも、日本内部監査研究所の報告書と同日、内部監査の国際…
- 「踊る大捜査線 THE MOVIE」とコンダクト・リスク【遠藤元一弁護士の「ガバナンス&ロー」#2】…
現場からの“ボトムアップ”を重視する2020年のFCAペーパー ところが、その英FCAは、2020年9月に公表した「Messages fro…
- 【10/18(金)15時 無料ウェビナー】品質不正における内部通報制度の死角:その課題と対応《品質不…
本誌「Governance Q」と日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)共催無料連続ウェビナー「品質不正とガバナンスの最前線:公認不…