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【2024年11月29日「適時開示ピックアップ」】I-ne、いよぎんHD、フコク、ACCESS、日テレHD、ラストワンマイル、QPS研究所、MUFG、ウェルスナビ

11月29日金曜日の東京株式市場は反落した。日経平均株価は前日から141円値下がり、3万8208円で引けた。為替相場が円高傾向になったことで売りが先行した。そんな29日の適時開示は288件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

美容家電「I-ne」社外取締役が自社株を勝手に売却で辞任

東証プライム上場でケアケア商品を扱うI-ne(アイエヌイー、大阪市)は、社外取締役が事前承認の手続きを経ずに株式を売却したと発表した。この社外取締役がI-neに連絡して発覚。11月6日に売却した。この社外取締役は辞任したとしている。

取締役が株式を勝手に売ることは、インサイダー取引が疑われることとなり、I-neも毎年、研修を行ってきたという。

同社は同時に、取締役の足立光氏が11月29日付で辞任したと発表した。本人から申し出があった。足立氏は56歳で、日本マクドナルド上級執行役員などの経験がある。

2019年6月から社外取締役を務め、株主総会の時の資料によると、「マーケティング業界の第一人者であり、消費財インサイトや国内外の市場に関する高い見識を有しており、多岐にわたる事業とポジションを経験されている」と評価している。

コーポレートガバナンスの中核を担う社外取締役のコンプライアンス感覚が問われる一件と言える。

【I-ne】社外取締役による社内規程違反に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113522215.pdf

【I-ne】社外取締役の辞任に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241129532305.pdf

「いよぎんHD」財務省OB社外取が突如辞任

東証プライムで、伊予銀行(愛媛県)を傘下に持ついよぎんホールディングス(HD)は、監査等委員の田中琢二・独立社外取締役が11月30日付で辞任すると発表した。田中氏は元財務省大臣官房審議官で63歳。2023年6月に同社の独立社外取締役になったばかりだった。「一身上の都合」としている。

【いよぎんHD】監査等委員である取締役の辞任に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241128531049.pdf

「フコク」中国子会社の着服疑惑で調査委を設置

東証プライムでワイパーや振動を抑える自動車用のゴム製品を造るフコク(さいたま市)は、特別調査委員会を設置すると発表した。中国にある子会社の従業員が資金を着服した疑いがあるという。

委員⻑は松井衡弁護士(大江橋法律事務所)で、委員は小田勇一弁護士(同)と、 公認会計士の藤田大介氏(KPMG FAS)となっている。

海外子会社のガバナンスは企業にとって難題とされるが、同社の一件も、それを印象付けるものと言える。

【フコク】特別調査委員会の設置に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241129532102.pdf

IT「ACCESS」米国子会社“不適切な売り上げ疑惑”で調査委を設置

東証プライムのIT企業、ACCESS(東京・千代田区)は、特別調査委員会を設置すると発表した。米国の子会社で不適切な売り上げがあった可能性があり、社内で調べていたが、調査の専門性や客観性を高めるため、新たな委員会を設けることにした。

特別調査委員会の委員長は藤津康彦弁護士(森・濱田松本法律事務所) で、委員は公認会計士の金子昌嗣氏(EYフォレンジック・アンド・インテグリティ合同会社)と、社外取締役で元大蔵官僚の水盛五実氏となっている。

このため12 月16 日に公表する予定だった2025年1月期第3四半期の決算発表を延期する。上記のフコクと同様、海外子会社のガバナンス問題が背景にあると言えそうだ。

【ACCESS】特別調査委員会設置及び2025年1月期第3四半期決算発表の延期 並びに 2025年1月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241129531797.pdf

「日テレHD」読売テレビなど系列主要局が経営統合

東証プライムの日本テレビホールディングス(HD)は、系列の読売テレビ放送、中京テレビ放送、札幌テレビ放送、福岡放送の4社が来年4月に持ち株会社「読売中京FSホールディングス」(FYCS)を設立して経営統合すると発表した。

なお、FYCSには日テレHDが20%以上を出資する。読売新聞も15%分を出資し、第2位の株主になる見通しだ。

FYCSは統合の目的について「経営基盤を安定させ、 将来にわたり良質な情報や豊かな娯楽を安定的に視聴者の皆様に提供し、地域社会に貢献する」と説明している。FYCSの社長には、日テレHDの石沢顕社長(日本テレビ放送網=日テレ出身。来年1月1日付で日テレHD副会長)が就く。テレビ局再編の号砲が鳴った。

【日本テレビHD】共同持株会社設立(共同株式移転)による 日本テレビ系列基幹局 4 社の経営統合に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241129532154.pdf

「ラストワンマイル」決算ミスで“内部統制は有効ではない”

東証グロースで電気、ガスなどの契約手続き代行を手がけるラストワンマイル(東京・豊島区)は2024年8月期について、「開示すべき重要な不備」があり、「財務報告に係る内部統制は有効ではない」と記載した内部統制報告書を関東財務局に提出した。

同期の決算で、経費の計上漏れや繰延税金資産などの算定でミスがあったという。経理部門のチェック体制が不十分で、財務知識の習得などの再発防止策を実施する予定だ。

【ラストワンマイル】財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241128530975.pdf

九州の宇宙ベンチャー「QPS研究所」がJAXA基金事業に採択

東証グロースの人工衛星ベンチャー、QPS研究所(福岡市)は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業に採択されたと発表した。JAXAの支援規模は総額950億円で、今回はQPSなど4件が採択された。

QPSはレーダーを使って人工衛星から地球を観測するシステムの構築を目指している。レーダーを使えば、夜間でも雲がかかっても観測が可能だ。社名の「Q」は九州の意味で、九州大学の教授らがつくった会社で、内閣府の宇宙開発利用大賞を受賞するなどしている。

11月26日、小型ロケット「イプシロンS」が燃焼試験中に爆発し、日本の宇宙開発に懸念が燻る中、今後が注目される。

【QPS研究所】大型案件の採択に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241120526699.pdf

「MUFG」が資産運用などの自動サービスを拡充へ

東証プライムの三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、スマホなどを使って自動で資産運用や生命保険のサービスを展開するウェルスナビに対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。

実際には、MUFG傘下の三菱UFJ銀行がTOBを実施する。三菱UFJ銀行は現在、ウェルスナビの15%の株式を保有。これを完全子会社化することで、保険や年金などMUFGグループ各種の商品・サービスをウェルスナビなどで推進することができるという。

ウェルスナビはこのTOBに賛同を表明。上場廃止になる見通しだ。

ちなみに、このTOBの動きは日経新聞電子版が29日午前2時に「日経スクープ」として報道。MUFGは29日午前8時20分に「一部報道について」という適時開示を出し、「当社および当行から公表したものではございません。 現時点で決定した事実はございませんが、当社および当行は、報道された内容について検討を行っており、本件について本日開催の経営会議に付議する予定のため、開示すべき事実が発生した場合には速やかに公表いたします」と追認していた。

【三菱UFJフィナンシャル・グループ】株式会社三菱UFJ銀行によるウェルスナビ株式会社(証券コード:7342)の株券等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241129532093.pdf

【三菱UFJフィナンシャル・グループ】一部報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241129531501.pdf

(平日連載、2024年12月2日公表分に続く)

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