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【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#4】伯ペトロブラス、ヨーロピアン・エナジー、スペースX、泰ガルフ・エナジー・デベロップメント、英シェル、仏CMA・CGM

伯ペトロブラス、デンマークの再生エネ企業と「eメタノール」生産へ

ブラジル国営石油会社ペトロブラスは、合成燃料の一種である「eメタノール」の生産に向け、デンマークの再生エネルギー企業、ヨーロピアン・エナジーと提携することで基本合意した。

eメタノールは、二酸化炭素(CO2)と再生可能エネルギー由来の水素を合成して得られる低炭素燃料。工業生産分野や、船舶用の燃料としての利用が想定されている。ペトロブラス、ヨーロピアン・エナジー両社は今後、ブラジル北東部ペルナンブコ州にeメタノール生産施設を建設し、商業生産を目指す。

ヨーロピアン・エナジーは太陽光発電や風力発電プロジェクトを展開しているほか、再生可能エネルギー由来の電力を利用した水素生成技術を手掛けている。eメタノールの商業生産では先駆け的な存在で、ペトロブラスとしては、技術を習得する狙いもある。

【ペトロブラス】Petrobras signs Heads of Agreement with European Energy
https://agencia.petrobras.com.br/en/w/negocio/petrobras-assina-acordo-de-principios-com-a-european-energy

スペースXの衛星事業、ナミビアで差し止め

実業家で次期米トランプ政権で影響力を見せつけるイーロン・マスク氏が経営する宇宙企業スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」のアフリカ南西部ナミビアでの事業について、無免許で展開していたとして同国の通信規制局(CRAN)が差し止めを命令した。

報道によると、ナミビアではスターリンクの通信サービス免許は申請済みだが、まだ審査中で、交付されていない。それにもかかわらず、利用者の自宅などから端末が見つかったため、当局が押収するとともに、警察の協力を仰ぎ、刑事事件として捜査が開始された。

CRANは、無免許での通信サービス運営は「違法」だとし、スターリンクの端末を購入したり、サービス契約を結んだりしないよう呼び掛けている。

泰ガルフ、アジア開銀等の協調融資で太陽光発電事業を推進

タイの民間電力会社ガルフ・エナジー・デベロップメントの子会社、ガルフ・リニューアブル・エナジーは、アジア開発銀行(ADB)などとの間で、総額8億2000万ドル(約1230億円)の協調融資を受ける契約を締結した。融資資金は、同国内での太陽光発電事業に充当される。

主幹事行となるADBが2億6000万ドルを貸し付ける。ADBはまた、「クリーン技術基金」から3135万ドルの譲許的資金を提供する。残り約5億2900万ドルは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)やドイツ投資開発公社(DEG)、中国輸出入銀行などが負担する。

ガルフは融資資金を元に、地上設置型の太陽光発電施設8カ所(総出力393メガワット=MW)、蓄電機能を備えた地上設置型太陽光発電施設4カ所(同256MW)を新設する。

タイは2037年までに電源構成に占める再生可能エネルギー由来の電力の比率を50%にまで引き上げる目標を掲げており、ガルフも太陽光発電事業を通じて目標達成に貢献する考えだ。

【アジア開発銀行】ADB, Gulf Sign $820 Million Loan to Scale Up Solar and Battery Storage in Thailand
https://www.adb.org/news/adb-gulf-sign-820-million-loan-scale-solar-and-battery-storage-thailand

英石油シェル、脱炭素化の一環で仏海運CMA・CGMに液化バイオメタンを提供

英石油大手シェルは、オランダ・ロッテルダム港で、仏海運大手CMA・CGMが所有する液化天然ガス(LNG)燃料コンテナ船「CMA・CGMティボリ」に、液化バイオメタン(LBM)100トンを補給する試験事業に成功した。

この事業は、ロッテルダム港とシンガポール海事港湾庁(MPA)が協力して推進している、海運のデジタル化・脱炭素化に向けた取り組み「グリーン・デジタル海運回廊」(GDSC)の一環で、試験は10月19日に行われた。

LBMは廃棄食品由来で、既存の船舶用燃料に比べて温室効果ガスの排出量が少ない。通航量の多いロッテルダム─シンガポール間ルートで、船舶が排出する温室効果ガスをゼロに近づけるとの目標達成を支援するものとなる。

シェルは試験事業に当たって、「CMA・CGMティボリ」に提供したLBMが欧州連合(EU)の規則に準拠していることを認証する「持続可能性証明」を発行した。

【ロッテルダム港】Rotterdam-Singapore Green and Digital Shipping Corridor (GDSC) conducts end-to-end sustainability certification pilot for liquefied bio-methane bunkering
https://www.portofrotterdam.com/en/news-and-press-releases/rotterdam-singapore-green-digital-corridor-bio-methane-bunkering


(毎週火曜日連載、次回#5は2024年12月10日公開予定)

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