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【2024年11月22日「適時開示ピックアップ」】明治HD、フジテック、東京衡機、ファインシンター、アルファクス・フード、兵機海運、シンワワイズ、ウイルコHD

11月22日の東京株式市場は3日ぶり反発した。終値は前日比257円高い3万8283円。21日の米国株の値上がりを好感した。そんな22日の適時開示は176件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

「明治ホールディングス」金融機関が政策保有株式を売り出し

東証プライムの明治ホールディングス(HD)は、金融機関が保有する同社の株式が売り出されると発表した。

売出人は、りそな銀行や三菱UFJ信託銀行、農林中央金庫など8機関で、計127万株を大和証券などが引き受ける。政策保有株の削減が目的で、「株主層の拡大や多様化を図る」としている。

【明治ホールディングス】株式の売出しに関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241122527807.pdf

身売り話も「フジテック」訴訟で“敗訴”創業家出身の元会長が控訴

本誌でも既報の東証プライム上場のエレベーター大手、フジテック(滋賀・彦根市)は、同社の取締役会の決議をめぐる訴訟で、創業家出身で元会長の内山高一氏が大阪高裁に11月14日付で控訴したことを明らかにした。

一審の大津地裁での訴訟で内山氏は会長を解任されたことの無効を主張したが、10月31日に同地裁は訴えを却下した。フジテックは「引き続き、控訴審において当社の正当性を主張する」とのコメントを出した。

同社をめぐっては昨年3月、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントがフジテックと内山家の間に不明朗な取引があることを指摘し、内山氏が会長から解任される騒ぎになっていた。

一審判決と軌を一にするかのように、英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は10月、フジテックが自社の売却を複数の投資ファンドと検討していることを報じている。なお、今年3月末時点の筆頭株主は内山氏の資産管理会社「ウチヤマ・インターナショナル」で、6.46%の株式を保有している。

【フジテック】当社に対する控訴の提起に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241122527732.pdf

「東京衡機」内部管理体制整い、特注銘柄が解除

本誌でも既報した東証スタンダード上場の計測機器メーカー、東京衡機は東証から「特別注意銘柄」の指定を解除し、監理銘柄(審査中)の指定も解除する通知を受けたと発表した。解除は11月23日付。

同社は、売り上げの過大計上で金融庁から昨年6月に1200万円の課徴金納付命令を受けた。特別注意銘柄などにも指定されていたが、抜本的に改善した内部管理体制が問題なく運用されていることが認められたという。

【東京衡機】当社株式の特別注意銘柄および監理銘柄(審査中)の指定解除に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241122528314.pdf

海外子会社不正「ファインシンター」再発防止の改善報告書

東証スタンダード上場で、金属の粉末を金型に入れて固める地金部品メーカーのファインシンター(FSC、愛知・春日井市)は、東証から12月20日までに改善報告書の提出を求められたと発表した。

インドネシアの子会社で2021年3月期~24年3月期の間、不適切な会計処理が発覚。同社が9月30日に公表した特別調査委員会(委員長=西村あさひ法律事務所パートナーの森本大介弁護士)の報告書によると、当時のインドネシア子会社の社長(昨年12月まで)が利益を確保するため、在庫の処分を先送りして、資産として計上していたという。

ファインシンターはその後、会計ルールの周知徹底や内部監査の強化といった再発防止策も策定した。また、トヨタ自動車出身の山口登士也社長が3カ月間、報酬の全額を返上する対応も公表していた。

だが、東証は、「虚偽と認められる開示が行われた」「適時開示体制について改善の必要性が高い」と判断、再発防止に向けた取組みの徹底を促す観点からも改善報告書の提出を求めることにしたという。

【ファインシンター】東京証券取引所及び名古屋証券取引所による「改善報告書」の提出請求 及び「公表措置」の実施について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241122528215.pdf

インサイダー疑惑の舞台「アルファクス・フード」監査人交代で“申し出の時期が遅くなってしまった”

本誌既報の通り、インサイダー取引疑惑の舞台となった東証グロース上場で外食産業向け経営システム開発会社のアルファクス・フード・システム(山口・山陽小野田市)は、会計監査人について「HLB Meisei 有限責任監査法人」(東京・台東区)から「監査法人やまぶき」(京都市)に変更すると発表した。12月26日の定時の株主総会に諮る予定だ。

HLB Meiseiから辞任の意向が伝えられたのが、今年11月15日で、「申し出の時期が遅くなってしまったため、後任監査人がどうしても見つからない場合には、ご相談に応じる用意はあります」と言われたという。

わずか1週間でやまぶきを見つけてきたことになる。会計監査人の交代は珍しくはないが、今回はなんとも慌ただしい交代となった。

【アルファクス・フード・システム】会計監査人の異動及び定款の一部変更に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241122527849.pdf

「兵機海運」を買い付ける“謎”の堂島汽船がTOBを4日間延期

本誌でも複数回にわたり既報の東証スタンダード上場の兵機海運(神戸市)は、同社を株式公開買い付け(TOB)している堂島汽船が、買い付け期間を4日間延長したと発表した。

最終日を11月29日から、12月5日に変更した格好だが、兵機海運はこのTOBに反対しており、「株主の皆様におかれましては、本公開買付けに応募されないようお願い申し上げますとともに、既に応募された株主の皆様におかれましては、速やかに本公開買付けに係る契約の解除を行っていただきますよう、お願い申し上げます」との一文もリリースに加えている。

【兵機海運】堂島汽船株式会社による当社株券に対する 公開買付けの買付条件等の変更に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241122527934.pdf

本誌既報の美術品取引「シンワワイズ」東証に改善報告書提出へ

こちらも本誌既報の東証スタンダード上場で美術品取引サービス、Shinwa Wise Holdings(シンワワイズホールディングス=HD)は、11月21日付で東証から改善報告書の提出を求められたことを明らかにした。提出期限は12月19日までという。

シンワワイズは11月上旬、2019年5月期~22年5月期の有価証券報告書を訂正。子会社で不適正な会計処理が発覚したためだ。同社は美術品競売のシンワアートオークション(1989年設立)が前身。23年5月末時点の筆頭株主は鶏卵事業のイセ食品の創業者、伊勢彦信氏で18.02%を保有していた。伊勢氏は美術品コレクターとしても知られた人物。

ところが22年3月、長男の伊勢俊太郎氏らが申し立てる格好でイセ食品は会社更生手続きに入り、現在の筆頭株主は01年にシンワの社長となった倉田陽一郎氏で、18.59%を保有している(今年5月末時点)。

しかし11月15日には、倉田氏から辞任の意向を受け、20年8月からシンワワイズの取締役を務める高橋健治氏(47)が社長に。人事も流動的となっている。東証は、シンワワイズが再発防止策に関する開示を行っていることを認識したうえで、再発防止に向けた取組みの徹底を促すため、改善点などを盛り込んだ報告書を求めるとしている。

【Shinwa Wise Holdings】東京証券取引所による「改善報告書」の提出請求及び「公表措置」の実施について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241122527839.pdf

雇用調整金不正受給「ウイルコHD」改善計画書の策定方針を決める

本誌既報の東証スタンダード上場で印刷会社のウイルコホールディングス(HD、石川・白山市)は、改善計画書の策定方針を発表した。

役員を入れ替えるほか、①取締役会の議案を5日前までに取締役に送って十分な検討時間を確保する、②前取締役で創業者の有形無形の影響力の排除、③コンプライアンスハンドブックの全社員への配布――などを挙げている。2025年1月10日に改善計画を策定する予定だ。

同社では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用調整金助成金の不正受給が発覚。8億6000万円を自主返還し、有価証券報告書も訂正していた。経営陣が、休業申請した日でも社員に在宅勤務することなどを指示するなどして仕事をさせていたという。

【ウイルコホールディングス】改善計画書の策定方針に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241120527116.pdf

(平日連載、2024年11月25日公表分に続く)

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