大日本印刷を追い込んだ物言う株主「エリオット」
(#13から続く)2月5日、三井不動産の株価(始値3698円)が一気に高騰。一時4100円まで値上がりし、上場来の最高値を更新した。その日の朝、英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版が報じた「エリオット・マネジメントが三井不動産に1兆円規模の自社株買いとオリエンタルランド株の売却を求めた」とのニュースに反応したものだ。
米投資ファンドのエリオットは世界最大最強と称されるアクティビスト(物言う株主)。ここ数年は日本企業をターゲットにしている。昨年から三井不動産株を買い集め、現在2%強を保有していると見られる。エリオットが三井不動産に狙いを定めた一番の理由は、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド株を6.04%保有する第2位の株主(信託口を除く)である点だろう。
わが国不動産業界トップの三井不動産だが、何より「ディズニー」という世界の誰もが知るブランドに関連する企業である事実は非常に大きな意味を持つ。今回の件で想起されるのは、4カ月前に突如として起きたオリエンタルランド筆頭株主の京成電鉄に対する攻撃(#4参照)である。
ここで登場したアクティビストはパリサー・キャピタル。保有するオリエンタルランド株(22.15%)の時価が京成電鉄の時価総額の約2倍という「資本の捻じれ」を問題視。オリエンタルランド株の一部売却を求めた。京成電鉄社長の小林敏也はパリサーの創業者ジェームズ・スミスと面談(#5参照)。要求を一蹴されたパリサー側はその後、目立ったアクションは起こしていない。
嵐の前の静けさかどうかはともかく、今回、三井不動産に照準を合わせたエリオットは少なくともパリサーほどヤワな相手ではない。パリサーは元々、エリオットの穏健派と目される香港グループが立ち上げた投資ファンド。エリオットの本来の姿は企業に厳しい態度で臨み、相手をとことん追い詰める“強面”集団だ。このエリオットにプレッシャーをかけられた大日本印刷は昨春、その求めに応じ、発行済み株式の約15%に当たる1000億円を上限とする自社株買いを発表。さらに2026年3月期までに計3000億円の自社株買いを行う新たな中期経営計画も示された。大日本印刷を屈服させたエリオットが三井不動産に乗り込んだとなると、タダでは済まない雲行きである。