検索
主なテーマ一覧

【大手企業訴訟ウォッチ#8】楽天、王子HD、大正製薬……最近の企業訴訟ピックアップ

松本人志vs.文春訴訟

直近の裁判の話題は、何と言っても、3月28日に第1回口頭弁論が開かれたダウンタウンの松本人志と『週刊文春』(文藝春秋)の名誉毀損訴訟。松本側は文春に5億5000万円の損害賠償を求めている。とりわけ注目を集めたのが、松本側が告発女性の特定を求めたこと。文春側は一蹴したが、この要求については賛否両論が巻き起こった。

ところで、名誉毀損においては、違法性の有無は「公共性」「公益目的」「真実性」の3点で争われる。松本の場合、有名タレントの“性加害疑惑”だけに、公共性と公益目的の是非について争われることはないだろう。焦点はやはり、真実性になる。

2023年暮れに『週刊文春』が松本の疑惑を報じ、その過程で性被害を証言した女性は11人に上る。法廷ではその真実性が争われるので、長期化は必至。裁判が進む中で本人や証人の尋問が開かれるだろうし、文春側が新たな“隠し玉”を出す可能性も拭えない。ただ、文春側にしても、直接的な証拠をもって立証するのは難しいはず。やはり、裁判を左右するのは、真実相当性(その事柄が真実であると信じるに足る理由や根拠)になる。

筆者はかつて類似の訴訟を取材したことがある。ある女性が「松本人志一派」と呼ぶべき吉本興業所属のタレントから性的強要を受けたとして民事訴訟に発展したケースだ。しかし、結果は女性の敗訴。提訴したのが“事件”発生当日から相当の時間が経過していたためだった。それが2011年のこと。そして、今回の松本の性加害疑惑報道。10年以上の時を経て、真実相当性を考えずにはいられない。

企業訴訟をウォッチする本コーナーの視点から言えば、吉本興業の動きも気になるところ。当初は「(文春記事で報じられた)当該事実はない」と松本と主張を一にしていたが、年が明けて一変、「事実確認を進める」としてスタンスを変えた。松本vs.文春訴訟では訴外の立場にある。

そんな状況だが、最近開廷された企業関連の訴訟を取り上げたい。

丸紅グループvs.楽天グループの「巨額電気代訴訟」 …
1 2

ランキング記事

【PR】riskey リスクアラートシステム
【PR】内部通報サービス無料オンデマンドセミナー

ピックアップ

  1. 【子会社ガバナンス#3】「親会社からの天下り」人事が子会社の成長を阻害する…

    #1、#2では実例を引き合いに出して、子会社のコーポレートガバナンスが機能不全に陥り、ひいてはグループ全体のガバナンスを阻害しかねない状況を…

  2. 【子会社ガバナンス#2】適切な事業ポートフォリオの構築が難しい理由…

    #1では大手企業の不動産子会社を例に、子会社のガバナンス不全があわや不祥事を生み出しかねない危険性を伝えた。続く#2では、新設子会社、あるい…

  3. 【子会社ガバナンス#1】大企業の「不動産子会社」で不祥事が起きた背景…

    子会社・関連会社までを含めたグループ全体のコーポレートガバナンスが求められる大手企業。一方、大手企業グループには必ずと言っていいほど、不動産…

  4. 「リスク情報収集」を自動化する最適なネット検索ツールとは…

    (前編から続く)リスク情報の収集には、時として正確性よりもスピードが求められる。その際、ネット上の情報をいかに集めるかが、勝負の分かれ目とな…

  5. 企業担当者を悩ます「リスク情報収集」の死角…

    「仕事とはいえ、パソコンに向かい合ってネット上で関係先のリスク情報をチェックするのは、身心ともに疲れ果ててしまう」――。あるメーカーで与信管…

  6. 第13回【JAL植木義晴×八田進二#3】CA出身「鳥取新社長」を一丸で支える使命…

    (#2から続く)八田進二・青山学院大学名誉教授が各界の注目人物と「ガバナンス」をテーマに縦横無尽に語り合う大型対談企画。今回のゲストは、JA…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス