【大手企業訴訟ウォッチ#7】日大「またしても不祥事」の中で抱える関連訴訟

お抱えの「日大危機管理学部」は何をしているのか?
(#6から続く)日本大学が相変わらず、世の中を騒がせている。最初は2018年5月にアメリカンフットボール部で発覚した「反則タックル問題」。そして、再びアメフト部で「大麻・覚せい剤問題」が起きた。
日大では2016年、林真理子理事長の前任の田中英寿元理事長(2021年11月に所得税法違反で東京地検特捜部に逮捕)キモ入りで「危機管理学部」が新設されている。
同年4月に開かれた危機管理学部の開校祝賀会には森喜朗元首相、危機管理の名に相応しい警察庁OBの亀井静香衆院議員(当時)、國松孝次元警察庁長官らが参列し、教諭陣にも警察庁、法務省、防衛省、国土交通省OBをスラリと並べて耳目を引いた。しかし、悪質タックル問題以来、「用を成していないではないか」と、皮肉られるタネになっている。
果たして今回の違法薬物問題でも、林理事長と沢田康広副学長の対立という“お家騒動”ばかりが前面に出る形となって、危機管理そのものというよりは、危機管理に当たるべきガバナンスの不在が露呈した。沢田氏は日大法学部OBの元検事で、法学部教授、危機管理学部非常勤講師も務めているが、ヤメ検の前歴ゆえか、会見で押収物を「ブツ」、薬物を小分けにした袋を「パケ」といった“ギョーカイ用語”を平気で言ってしまうあたりも、どうなのかと思わせてしまう。
その日大では、2023年度も21、22年度に続いて3年連続で私学助成金の全額不交付が決定した。理事会での林理事長の「助成金は欲しいし、叩かれたくはない」という発言は本音中の本音だろうが、文部科学省にしてみれば、助成という火中の栗は拾えまい。また、そんな理事長の発言が漏れてしまうガバナンス体制だからこそ、問題なのである。
そんな日大だが、最近の東京地裁・高裁においても、その名は散見されている。
ピックアップ
- 【オリエンタルランド秘史#6】高橋政知「高額接待」伝票を処理した加賀見俊夫…
狙われたニッポン放送との共通点 (#5から続く)オリエンタルランドと筆頭株主・京成電鉄の間で生じている「資本の捻じれ」がアクティビスト(物言…
- 第10回【磯山友幸×八田進二#2】トップ万能主義が「ガバナンス」を蝕む…
経済ジャーナリストの磯山友幸氏と八田進二・青山学院大学名誉教授による対談の後編のテーマは、日本企業のガバナンス強化の実効性と学校法人のガバナ…
- 【スタートアップ「ガバナンスの乱」】頓珍漢なベンチャーキャピタリスト#3…
(#2から続く)創業社長は、株主総会の時期が近くなるにつれ、取締役会における数的優位を確保するための布陣を着実に構築していった。本来、各取締…
- 【ビッグモーター×損保の核心#6】損保ジャパン「120億円」で躓いたガバナンス…
損保ジャパンの「車両紹介」再開 (#5から続く)ところが、これまでビッグモーターの局部的にとどまらない不正を認識していたはずの損害保険ジャパ…
- 【女性社外取締役】日本総研・翁理事長《後編》「昭和のおじさん文化」との決別…
不祥事発生、そのとき、社外取締役は…… (前編から続く)――弁護士、公認会計士といった「士業」の女性たちにもオファーが集中しているようです。…
- 第9回【冨山和彦×八田進二#3】”お飾り社外取締役”を選ぶ日本企業の「ガバナンス粉飾」…
JAL再生「利権構造」を会社更生法で一掃 八田進二 (第9回#2から続く)冨山さんはJAL(日本航空)の再建にも関与されましたね。私は会社更…