【オリエンタルランド秘史#18】千葉県知事スキャンダル辞任を超えてTDL開園
オリエンタルランド株売却に踏み切った京成電鉄
(#17から続く)「最強アクティビスト(物言う株主)」の呼び声も高い米投資ファンドのエリオット・マネジメントにオリエンタルランド株の売却や1兆円規模の自社株買いの要求を突きつけられている三井不動産。2月5日にエリオット介入の事実が発覚して以降、同社の株価は右肩上がりを続け、3月に入ってもその勢いは止まらず、何度も上場来高値を更新している。
3月3日の東京株式市場の取引終了後、三井不動産は3月末に1株3分割と株主優待制度の新設を実施すると発表。さらに株価を押し上げる要因となった。アクティビストに屈したと見られるのを避けつつも、少なからず影響があったのは明らかだった。
ディズニー関連企業をターゲットにするアクティビストの動きはこれまで以上に活発だ。オリエンタルランド株22.15%を持つ筆頭株主の京成電鉄に保有比率引き下げを求めている英投資ファンドのパリサー・キャピタル。ディズニーとは関係ないが、この3月5日に調剤薬局チェーン最大手のアインホールディングス株の大量保有報告書を関東財務局に提出した。保有比率は9.60%。この数字は創業者で筆頭株主(信託口を除く)の大谷喜一社長の保有比率9.22%を上回る。最近のパリサーの日本企業に対する攻勢は凄まじい。
そして3月7日、京成電鉄はオリエンタルランドの発行済み株式1%分を売却すると発表した。「保有比率を15%未満に減らせ」と求めるパリサーの提案には程遠く、インパクトには欠けるが、アクティビストの圧力がじわじわと効き始めているのは間違いなさそうだ。ただ、1%という数字はやはり物足りなく、市場では逆に失望感が広がり、翌8日の京成電鉄の株価は一時、10%も下落した。
企業価値を高めるという目的において、エリオットやパリサーの提案の内容は正論だ。徹底した利益追求はアクティビストの“正義”である。まだアクティビストという言い回しがなかった時代、オリエンタルランドや大株主の京成電鉄、三井不動産は儲けだけを追い求める人物に振り回されたことがある。オリエンタルランド株が他社に流出する事件が起こったのは1960年代半ば。その張本人がそれを買い戻し、オリエンタルランドらから謝礼として浦安の埋め立て地4万5000坪が譲渡された。そのマッチポンプを演じ、100億円を超えるカネを手にしたのは政商の小佐野賢治だった(#10参照)。
さまざまな人物や不測の事態に翻弄されながら、オリエンタルランドは日本にディズニーランドをつくるという当初の目的をあと少しで達成しようとしていた。
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