【オリエンタルランド秘史#6】高橋政知「高額接待」伝票を処理した加賀見俊夫

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狙われたニッポン放送との共通点

#5から続くオリエンタルランドと筆頭株主・京成電鉄の間で生じている「資本の捻じれ」がアクティビスト(物言う株主)にとって格好の材料となるのは、過去の例からも明らかだ。村上世彰率いる旧村上ファンドが当時、東証2部上場だったニッポン放送株7%を取得したのは2003年7月のことだった。村上ファンドは2004年春までにニッポン放送株を19%近くまで買い進めた。

ニッポン放送は企業規模ではるかに上回るフジテレビの株式22.5%を所有。このラジオ局の経営権を握れば、フジサンケイグループを掌握できる構図だった。だが、村上世彰はメディア支配を目論んでいたわけではない。ニッポン放送の株価を吊り上げるのが狙いだった。フジテレビは村上の進言を受け入れ、資本の捻じれ状態を解消すべく、ニッポン放送株のTOB(株式公開買い付け)を発表した。その間隙を縫って参戦してきたのが堀江貴文である。2005年2月8日朝8時過ぎ、堀江が率いるライブドアの子会社ライブドア・パートナーズは時間外取引によって30%近いニッポン放送株を取得。以前から所有していた分と合わせ計約35%を握り、筆頭株主に躍り出た。

ネットと既存メディアを融合させ、巨大ビジネスに発展させるという堀江貴文の野望は結局、打ち砕かれるが、この一連の攻防は今回の京成電鉄をターゲットとした英投資ファンドのパリサー・キャピタルのチャレンジに当てはめると、いくつかの共通点が見えてくる。と言っても、パリサーの創業者ジェームズ・スミスが堀江というわけではない。役割としてはむしろ、村上世彰に近い。資本の捻じれを解消させ、自身が株式を持つ企業の価値をいかに上げるかに腐心している点で、両者は合致する。そして、捻じれをそのままにしていると、今後さまざまなハゲタカから狙われると経営者に警告する。堀江がフジテレビを掌握しようとしたように、オリエンタルランドを傘下に収めようとする勢力が次々にアタックをかけてくると――。

保有しているオリエンタルランド株(議決権所有比率22.15%)の株価総額が京成電鉄自身の時価総額の約2倍という捻じれは、放っておくと今後さらに拡大する公算が高い。新たに出てくるオリエンタルランドの直近のデータが予想以上の数字を叩き出しているのである。コロナ禍が明け、過去最高を次々に更新しているのだ。インバウンドもそのひとつ。2024年3月期上半期(2023年4~9月)に海外から東京ディズニーリゾート(TDR)に訪れたのは来園者の13%を占める。その割合はコロナ禍前の2020年3月期の10%を大きく上回る。訪日客のカネの使い方は国内の来園者とはまったく異なる。ここぞとばかりに財布の紐が緩むのだ。TDRは空前の好況に沸いている。