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日大だけではない「学校法人のガバナンス不全」【ガバナンス時評#11】

林真理子理事長にはブレーンが必要

「学生に対して慙愧の念に堪えない。できるだけ早く(諸問題を)解決していきたい」

日本大学のアメリカンフットボール部をめぐる問題で、第三者委員会報告書が10月30日に提出されてから1カ月余り。日大は同報告書を受けて「『学校法人の管理運営に関する適切な対応及び報告(指導)』に対する本法人の今後の対応及び方針」(通称・対応方針)を11月30日に文部科学省に提出。そして12月4日には林真理子理事長が記者会見を開き、冒頭の言葉を述べている。

対応方針には、日大がこうした問題を起こした原因について、「ウチのことはウチで納めるという組織風土、古い体質」「古いムラ意識」「法人内での情報伝達を阻害する秘密主義」「学外者に情報を共有しようとしない排外主義」などと列挙されている。

対応方針作成の中心となった、第三者委員会答申検討会議の座長である久保利英明弁護士は、会見の席でもこれらの問題に加えて林理事長本人の不適切行為を挙げ、その責任にも触れた。

久保利弁護士は、私も発起人を務める「学校法人のガバナンス改革を考える会」の発起人代表でもある。久保利弁護士は林理事長の問題として、情報共有を怠っただけでなく、危機管理規定や役員規定に反する振る舞いが多かったことに加え、危機管理広報の本質を損ねたことなどを指摘した。

私自身、以前から折に触れて指摘しているように、組織のガバナンスについて何ら知識や経験を持たない林理事長が、保身の伏魔殿のような状況にあり、体育会(日大では「競技部」)が力を握っている日大に単身で乗り込んでも、組織改革など望むべくもないのである。

参考記事
【ガバナンス時評#6】日大の林真理子理事長に「ガバナンス力」を期待するのは酷である

林理事長の改革が成功するためには、組織内部と全くしがらみのないブレーンを引き込む必要があるとともに、時間をかけて問題の洗い出しと対策を練る必要がある。大変困難な道だが、少なくとも3年かけて取り組めば改善が見込める可能性もあるのではないか。「石の上にも三年」とはよく言ったもので、組織の体質改善にも相応の時間と忍耐が欠かせない。

林理事長本人にも不適切と言わざるを得ない判断、行為があったとはいえ、世間的には「門外漢の林真理子氏が、卒業生だからというだけで日大に乗り込んだ。改革はまだ途上、大目に見てやろう」というのが大方の雰囲気だろう。そもそもが、林氏の手に余る問題であり、短期間で結果を求めるのは酷な話なのだから。

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