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【2024年12月13日「適時開示ピックアップ」】グローバルキッズCOMPANY、MTG、トーシンHD、ラクオリア創薬

12月13日金曜日の東京株式市場は5営業日ぶりに反落した。日経平均株価の終値は前日から378円値を下げ、3万9470円で引けた。これまで4日続伸だったため、利益確定売りに押された格好。そんな13日の適時開示は、最近としてはいつもより多い505件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

「グローバルキッズ COMPANY」不適切な保育で陳謝

東証スタンダード上場で、首都圏で認可保育所などを運営するグローバルキッズ COMPANY(東京・千代田区)は、今年7月に不適切な保育が行われていたと発表した。

問題の保育所は「グローバルキッズ池上園」(東京・大田区)で、元職員が走る園児を保育室に戻す際、押して転ばせ、放置するなどしたという。大田区には報告済みという。

同社は、「園児と当該施設の園児及びその保護者の皆様をはじめ、行政関係者、株主等すべてのステークホルダーの皆様にご迷惑をおかけしておりますことを お詫び申し上げます」とコメント。再発防止策として、保育士一人ひとりが自身の保育を振り返ったり、本部の体制強化と保育所のサポートを強化したりしている。

【グローバルキッズ COMPANY】不適切保育の発生及び改善状況に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241213538748.pdf

「MTG」子会社不正で不正検査士弁護士を委員長に調査委設置

東証グロース上場の美容・健康機器メーカーで、「SIXPAD」(シックスパッド)などで知られるMTG(名古屋市)は、完全子会社で広告代理業のM’sエージェンシー(同)でマーケティング費の過少計上の疑いがあることが判明したことを受け、特別調査委員会を設置した(本誌既報)。

委員長は、ひふみ総合法律事務所パートナーの矢田悠弁護士で、 委員は同事務所の小島冬樹弁護士と、KICの伊藤俊哉・公認会計士。矢田氏は不祥事対応の専門家として知られ、公認不正検査士(CFE)でもある。

MTGでは、書類の改竄のほか、費用計上を年度でずらしたり、未計上だったりした疑い発覚。現時点で6億6000万円の費用の過少計上の可能性がある。

MTGは長崎・五島列島出身の松下剛社長が1996年に創業。2018年に東証マザーズ(当時)に上場した。

振り出しは中古車販売事業だが、社名の由来は「松下、剛(つよし)、グループ」だそうな。これだけからも創業者の強力なリーダーシップを感じるが、逆に言えば、“松下剛商店”でもある。創業者ガバナンスの真贋が問われるところだ。

【MTG】特別調査委員会設置に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241213538742.pdf

名古屋「トーシンHD」匿名告発メールきっかけで第三者委を設置

東証スタンダードで東海地盤に携帯電話販売代理店を展開するトーシンホールディングス(HD、名古屋市)は、会計処理に誤りがある可能性が出てきたとして第三者委員会を設置することを決めた。

きっかけは匿名のメールで、「携帯電話契約における顧客への還元(キャッシュ・バック)の一部が未精算、未計上である」と指摘があったという。今年10月に社内調査を始め、把握できたものから随時精算しているが、店舗と本社においてキャッシュ・バックに対する問い合わせ電話が継続しているという。

また、会計監査人の判断もあり、公正性を確保した調査が必要と判断した。調査には、相応の日数を要することが見込まれ、12日16日に予定していた2025年4月期第2四半期の決算発表を延期する。同社のコーポレートガバナンスが問われている。

【トーシンHD】第三者委員会設置のお知らせおよび 2025年4月期第2四半期決算発表の延期および 2025年4月期半期報告書の提出期限延長の申請検討に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241213538638.pdf

バイオベンチャー「ラクオリア創薬」業績不振で社長交代

東証グロース上場で創薬系のバイオベンチャー、ラクオリア創薬(名古屋市)は、来年1月1日で、代表取締役の武内博文社長が取締役に退き、新たに取締役で執行役員の須藤正樹氏が社長に就く人事を発表した。

12月13日にラクオリア創薬は業績に下方修正を発表して当期損益が赤字に転落。これで2期連続の赤字となった。武内氏は2021年3月25日の株主総会において株主提案で取締役になったが、その後も株価は低迷。経営責任を明確化すると辞任の申し出があった。わずか4年弱での降板。

片や、新社長に就任する須藤氏は帝人、ファイザー製薬(当時、現ファイザー)を経て08年にラクオリア創薬に入社、その後、名古屋大学客員教授や幹細胞&デバイス研究所を経て21年6月に同社に返り咲いているという経歴の持ち主。再生なるか。

【ラクオリア創薬】代表取締役の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241213538222.pdf

(平日連載、2024年12月16日公表分に続く)

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