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【2024年12月18日「適時開示ピックアップ」】ホンダ・日産・三菱自動車、ispace、東邦亜鉛、セレスポ、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン

12月18日水曜日の東京株式市場は4日続落した。日経平均株価は前日から282円下がって3万9081円で引けた。この日、日本経済新聞が「ホンダと日産が経営統合へ」と特報し、マーケットの大きな話題となったが、正式な発表はなく、全体を押し上げるほどの流れにならなかった。そんな18日の適時開示は157件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

「ホンダ」「日産」「三菱自」自動車3社が“日経統合報道”に対応

東証プライム上場の本田技研工業日産自動車三菱自動車工業の3社は、日経新聞が朝刊で報じた3社の経営統合について朝方にコメントを出した。いずれも、「様々な検討を行っているが、現時点で決定したものはない」との内容だった。

その後は、マスコミ各社が雪崩を打ったような報道合戦となっている。各社報じしているが、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)が日産に買収話を持ち掛け、それが今回の3社統合の動きを後押ししたとの記事が目を引く。

ただ、日産株と三菱自株がストップ高になったものの、ホンダは逆に下落。カルロス・ゴーン元会長の逮捕から6年余、レバノンへの逃亡から5年経つが、その後の日産の迷走ぶりは周知の通りだ。

四半世紀前にはバブル期の放漫経営の末に破綻寸前に陥ったところを仏ルノー、そしてゴーン氏に救われた格好の日産。四半世紀を経てもなお、自律した経営を達成したとは言い難い状況が続く。同社のコーポレートガバナンス史を紐解く必要がありそうだ。

【ホンダ】当社と日産自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社に関する一部報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241218540126.pdf
【日産】本日の一部報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241218540133.pdf
【三菱自動車】本日の一部報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241218540154.pdf

宇宙企業「ispace」月の探査機が来年1月にも打ち上げ予定

東証グロース上場で宇宙ベンチャーのispace(アイスペース、東京・中央区)は、月面への着陸を目指した探査機の打ち上げ時期について、最速で来年2025年1月中旬になったと発表した。

探査機は、かのイーロン・マスク氏率いる米スペースX(スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ)のロケットに搭載して打ち上げられる予定。

同社は米ジョージア工科大学で航空宇宙工学を学んだという1979年生まれの袴田武史CEO(最高経営責任者)が13年に設立。23年4月、グロース市場に上場。現在は袴田氏が12.88%の筆頭株主である一方、官民ファンドの産業革新機構の流れを汲むINCJが6.57%、日本政策投資銀行が3.75%を保有し、官民挙げての支援を受けている。

ただ、22年12月に月面着陸船を打ち上げたが、通信がうまくいかずに失敗。株価も冴えない状況が続く。

【ispace】ミッション2の打ち上げから月面着陸までのマイルストーンに関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241218540317.pdf

苦境の精錬会社「東邦亜鉛」が第三者割当増資

東証プライム上場で亜鉛・鉛製錬大手の東邦亜鉛は、投資会社アドバンテッジパートナーズから第三者割当増資で約70億円を調達すると発表した。

非鉄金属は市況変動が大きく、エネルギー価格の高止まりもあって業績が悪化していた。東邦亜鉛は財務体質を改善し、事業の選択と集中を推し進めるとしている。

なお、アドバンテッジだけでなく、プライム上場の鉄鋼商社、阪和興業とも業務提携を結び支援を受けるとしている。

【東邦亜鉛】第三者割当によるA種優先株式及びB種劣後株式の発行、定款の一部変更、臨時株主総会 招集のための基準日設定、事業再編に伴う希望退職者の募集及び配置転換、並びに 主要株主である筆頭株主の異動等に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241218540437.pdf

イベント会社「セレスポ」東京五輪談合で2.8億円罰金の判決

東証スタンダード上場でスポーツイベントを企画・運営するセレスポ(東京・豊島区)は、東京五輪・パラリンピックをめぐる独占禁止法違反事件で、東京地裁から罰金2億8000万円の判決を受けたと発表した。

報道によると、セレスポと元専務は電通など共謀し、五輪組織委員会が発注するテスト大会を経て、本大会の受注事業者を決める談合を行ったとされる。

当のセレスポ側は、2023 年2月に起訴されて以来、無罪を主張してきたが、受け入れられず、「当社側の主張が認められなかったことは誠に遺憾であり、弁護人と判決内容を精査し、今後の対応を検討してまいる」とコメントしている。

【セレスポ】独占禁止法違反被告事件における判決について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241216539270.pdf

建築家ネット「アーキテクツ・スタジオ・ジャパン」損賠で敗訴

東証グロース上場で、建築家をネットワーク化して注文住宅を提供するアーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ、東京・千代田区)は、大阪阪地裁の損害賠償訴訟で、5181万円の支払いを命じる判決が言い渡されたと発表した。

訴えたのは、ASJのネットワークを通じて施工会社と建設工事を契約した企業。この契約は結果的に解除されたが、その責任はASJにもあるとして、施工会社に支払った代金の返還を求めて訴えていた。

ASJは「今回の判決は承服しかねる」「改めて事実関係に基づく、当社の法的な立場とその正当性を主張し、争っていく」と控訴する方針だ。

【アーキテクツ・スタジオ・ジャパン】損害賠償請求訴訟の判決に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241218540757.pdf

(平日連載、2024年12月19日公表分に続く)

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