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【2024年12月11日「適時開示ピックアップ」】シャープ、電気興業、ジェイフロンティア、くら寿司

12月11日水曜日の東京株式市場は3日続伸した。日経平均株価は前日比4円高い3万9372円で引けた。米国株の値下がりを受けて、日経平均も値を下げて推移したが、取引終了に近づいて値を上げ、わずかに前日の終値を超えた。そんな12日の適時開示は146件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

「シャープ」液晶ディスプレイ“カルテル”でイスラエル企業と和解

東証プライムのシャープは、 イスラエルの会社から損害賠償を求められていた訴訟で、12月9日に和解が成立したと発表した。

イスラエルの企業はHatzlacha for the Promotion of a Fair Society社といい、液晶ディスプレイのカルテルで損害を被ったと主張。シャープを含む5社に対し、連帯して最大114億円を支払うよう求めてイスラエルの裁判所に提訴していた。

シャープは同社に2億2000万円を支払うことで合意。業績への影響は軽微としているが、国際展開する日本企業にとって海外での係争は日常になっていると言えよう。

【シャープ】和解による損害賠償請求訴訟の解決に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241211537067.pdf

「電気興業」前社長のセクハラなど株主の提訴請求に応じず

東証プライム上場で大型の通信アンテナをつくる電気興業は、株主から求められていた元代表取締役社長に対する提訴請求について、これに応じないことを決めた。

株主は監査役に対し、前社長が行ったとされるセクハラに対する調査費用や、業務と関係のない交際費などについて、計2億3680万円を会社に支払うよう求めていた。

しかし、監査役は、弁護士らの支援を受けながら改めて調査したところ、セクハラは和解が成立し、交際費についても報酬の自主返上で実質的に返済済みと判断し、訴えを提起しないことにした。

経営トップはコーポレートガバナンスの要だが、リスクマネジメントでも同様と言える。

【電気興業】株主からの提訴請求に対する当社監査役からの不提訴理由通知について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241211536984.pdf

「ジェイフロンティア」広告めぐる不適切会計で決算短信大幅遅れ

東証グロース上場で医薬品や健康食品の通販を手がけるジェイフロンティア(Jフロンティア、東京・渋谷区)は、11日に2024年5月期決算短信を公表した。

開示が大幅に遅れたことについて、同社では、不適切な広告取引の疑惑が浮上。今年11月13日に公表された調査委員会の報告書では、役員らが仕入れ先と組んで売り上げの水増しなどの不適切な会計をしていたことなどが明らかになった。

Jフロンティアはこのため、決算の開示が遅れたと説明している。東証は、決算短信について期末から 45日以内の開示を求め、50 日を超えた場合、その理由なども示すよう指導している。

同社は、「期末後45日を超えることがないよう適切な情報開示に取り組んでまいります。株主、投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様には多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを深くお詫び申し上げます」 とコメントした。

また、24年5月期の内部統制報告書について、開示すべき重要な不備があったとし、内部統制は有効でないと発表した。

【ジェイフロンティア】2024年5月期決算短信の開示が期末後50日を超えたことに関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241209536050.pdf

【ジェイフロンティア】財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241209536045.pdf

「くら寿司」が株主優待を廃止

東証プライムのくら寿司は、株主優待制度を廃止すると発表した。

これまでは、全国のくら寿司などの店舗で使える割引券を、1000株以上で2万円分など、持ち株に応じて配布していた。くら寿司は、株主に対して公平な利益還元という観点から、慎重に協議した結果と説明し、2025年4月30日を基準日としてとりやめるという。

【くら寿司】株主優待制度の廃止に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241210536587.pdf

(平日連載、2024年12月12日公表分に続く)

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