【特集】経営者「女性スキャンダル」とガバナンスーー女性識者が徹底解剖!
英雄色を好むーー。企業社会においても「ダイバーシティ(多様性)」が叫ばれる昨今、家庭の外に愛人を持つことを”男の甲斐性”と考え、不貞は功成り名遂げた”英雄の恩典”などと考える男性経営者は少なくとも表面上、絶滅しているはずだった……。しかし現実には、「獣性」とでも言うべき自らの衝動を抑え切れない企業トップたちの乱行が後を絶たない。
いや、むしろ、男女の艶文を売りにしてきた週刊誌の軸足がオンラインに移り、その代表格である「週刊文春」は芸能人やスポーツ選手、政治家に続く、スキャンダルのターゲットとして、企業経営者をも射程に収めようとしている。大企業の社長とはいえ、関係者でなければ顔も見知らない経営者にカメラマンを張り付けて、遠く沖縄までその社外活動「パパ活」を追う執拗ぶりだ。
しかも、紙の時代であれば、人の噂も七十五日で醜聞もいつの間にか沈静化したものだが、いまやネットニュースの時代。本編記事に加え、それに寄せられたコメント欄の罵詈雑言がインターネット空間に半永久的に刻まれる。
スキャンダルの代償はいつになく大きくなっているわけだが、それは本人のみならず、企業そのもののレピュテーション(評判)リスクに直結する。そうである以上、不貞や乱倫とは無縁のモラルを持ち合わせたトップを選任するのが取締役会の務めと言える。そして万が一にも、醜聞に塗れ、企業の信頼を著しく毀損する経営者が現れれば、適宜適切に”排除”することこそ、その会社のガバナンスが機能していることの証左なのである。事実、不貞行為を週刊誌に写真付きで詳報されたドラッグストア最大手の社長(当時)は、当の掲載号が発売される前に勧告に従って辞任することを余儀なくされた。
そこで今回、本誌「Governance Q」では、往々にして卑俗な嗤いとともに語られがちな経営者の「女性スキャンダル」を真正面からアプローチすることはもちろん、大手企業の社外取締役、弁護士、広報研究者、そしてエジプト出身のコメンテーターと、いずれも女性の有識者に問題の核心を聞いたーー。ダイバーシティの時代における個人スキャンダルとガバナンスの在り方を真剣に検証する。
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