粉飾、社長の女性問題…「内部通報」で暴かれた企業不祥事2023

日糧製パン「棚卸金額の不正会計」を暴いた匿名メール

北海道を中心に展開する製パン中堅の日糧製パンが不祥事を公表したのは、2023年5月18日。23年3月期決算の延期を発表した5月10日から8日後のことだった。

というのも、決算発表直前の5月8日に社内関係者と見られる人物から社長宛てにメールで「製菓工場の棚卸金額が物凄い金額粉飾されている」などと記載された匿名の通報が直接寄せられていたのだ。

このメールを製菓部門において棚卸金額の粉飾がされている可能性を示唆するものとして捉えた同社は社内調査を実施。その結果、現場在庫の棚卸金額が過去1年間のうちに3000万円程度増加していることが判明したほか、製菓を含めた生産部門や生産管理部、経理部の管理職などの関係者にヒアリングを行ったところ、棚卸金額を意図的に過大計上した疑いが出た。

そこで5月18日に弁護士や公認会計士で構成される特別調査員会を設置し、不正行為の有無や内容等の事実確認を行ったところ、19年4月以降から不正行為が行われており、過大計上された金額は23年3月末時点で約5600万円に及んだ。

23年7月27日に公表された特別調査委員会の報告書には、①現場在庫の棚卸数量を過大に計上できる環境だった、②監督すべき立場の部長職が不正の指示をしていた、③実情を踏まえずに数字を改善する風潮があった、④二次的・三次的なチェック機関の機能不全といったことが原因として挙げられている。

さらに、現場在庫の過大計上が行われている可能性は現場では認識されていたものの、従業員相談窓口に通報・相談する社員がいなかったことは、在庫の過大計上が会計処理上重大な問題だという認識が共有されていなかったと指摘。実地棚卸業務のプロセスにおける内部統制が欠落していたことが不正を招いたと結論づけている。

フジクラ「取締役兼米子会社CEOが会社資産を私的流用」

電線やケーブル製造のフジクラが米国の連結子会社アメリカ・フジクラ社(AFL)での不祥事を公表したのは2023年5月26日のことだ。

発端は23年3月3日、AFLのCEO(最高経営責任者)が社有の不動産を私的流用しているという内部通報が寄せられたことによる。フジクラの調査により、AFLの子会社が20年に購入した米サウスカロライナ州の土地、および22年に建設した建物が不適切に取得されたもので、合計約650万ドル(8億7400万円相当)のこの不動産をCEOが私的に使用していたことが判明した。なお、この米子会社CEOはフジクラ本体の取締役も務めており、米国のみならず、海外子会社29社のビジネスを統括する立場にあった。

そして、その後の調査で当該CEOが、AFL子会社のクレジットカードや小切手で42万ドル以上を私的目的で不正利用したこと、同子会社の資金600万ドルで航空機を社内規程に準拠しない形で購入して私的に利用していたほか、会社資金で事業とは関連の薄い有価証券投資を行っていたという類似案件も新たに分かった。

23年7月31に公表した調査結果に関するリリースでは、①AFLにおいて当該CEOに権限が集中して他者の牽制が働かなかったこと、②今回の不正事案については当該CEOの承認だけで実行が可能でフジクラ本体の承認が不要だったため、不正を検知できなかったことが、不祥事の原因だと結論づけている。