2022年6月の改正公益通報者保護法施行から1年半余り。改正に伴い、22年6月1日以降は従業員301人以上の企業などに内部通報制度の整備が義務付けられるようになった。しかし、制度整備はまだまだ道半ばのようだ。
2023年11月、民間調査会社の帝国データバンクが発表した「公益通報者保護法制度に関する企業の意識調査」。有効回答企業数1万1506社(調査対象全国2万7052社)のうち、公益通報窓口を設置・検討をしている企業は24.1%にとどまっている。また、整備が義務付けられている従業員301人以上の企業(301~1000人)でも、対応しているという企業は6割弱だった。
【帝国データバンク】公益通報者保護制度に関する企業の意識調査
また、少し古いデータになるが、2016年には消費者庁が「平成28年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査」を実施。上場および非上場の1万5000事業者(有効回収率3471件)を対象に内部通報制度の導入を調査したところ、46.3%の企業が内部通報制度を導入していると回答していた。なお、同庁は23年末から令和5年度の実態調査を実施し、24年4月に結果を公表するとしている。
【消費者庁】平成28年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査 報告書(PDF)
一方、企業・組織において不祥事が発生・発覚すると、第三者委員会に代表される調査組織が立ち上げられるのが“標準”的な対処法になっているのは周知の通り。いまや不祥事と調査報告の公表はセットになっている状況だ。
上場企業の第三者委員会等設置の状況を追跡している「第三者委員会ドットコム」の集計によると、2023年度において、不祥事発生を引き金に第三者委員会、あるいは何らかの形で調査組織(および、それに類するもの)が設置された上場企業は79社にのぼる。
それでは、会社設置の内部通報制度によって不祥事・不正が発覚したケースはどのくらいあるのか――。「Governance Q」独自の確認になるが、結論から言うと、そのうち内部通報が起点となったことが報告書等で明示的に確認できたのは7社に過ぎない(【2月26日追記】うち1件であるダイハツのケースは当初、会社側は内部通報が起点と発表していたが、のちに第三者委員会がこれを否定)。本稿では、報告書など、各社公表資料をもとにして7社のケースを取り上げる。