ディズニー社に旨みの大きい「ロイヤルティー」
(#7から続く)米ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)は今年10月、創業100周年を迎えた。ウォルトと兄のロイが1923年(大正12年)、ロサンゼルスの自宅ガレージでアニメスタジオを始めたのがその出発点だ。記念すべき今年、同社はかつてない試練に見舞われている。株価は10月、9年ぶりの安値を記録。時価総額は2年前のピーク時から半減するまで落ち込んだ。その後、わずかに持ち直したものの、低迷が続いている。
その最大の原因は動画配信の不振だ。会員数で世界全体の4割を占めていたインドで苦戦。昨年9月から1年間で会員の38.7%に当たる2370万人を失った。地元財閥による無料配信が定着しており、試しにDISのアプリにユーザー登録してみたものの、カネを払ってまでどうしても観たい魅力がディズニーの動画に見いだせなかったということだろう。
アクティビスト(物言う株主)で知られる米投資ファンド、トライアン・パートナーズからの攻勢も強まっているが、救いのひとつはオリエンタルランドからのロイヤルティー収入が増える見込みであることだ。東京ディズニーリゾート(TDR)の入場料の10%、商品売上の5%(推定)がDISに支払われる契約になっている。オリエンタルランドが過去最高の売上高5256億円を記録した2019年3月期はDISに310億8500万円のロイヤルティーが支払われた。コロナ禍からの回復の兆しが見られた2023年3月期のロイヤルティーは288億5000万円で前年比86.2%増。2024年3月期の売上高は2019年3月期を大幅に上回ることが確実視されており、ロイヤルティーも過去最高を更新する見込みだ。
といっても、3百数十億円という額がDISにとってどれだけ大きいのか判然としない。動画配信事業の累積赤字は100億ドルを超え、焼け石に水といった感じもする。だが、オリエンタルランドからのロイヤルティーはDIS側からすれば、ほぼコストがかからない性質のもの。TDRの業績に左右される部分はあるにしても、コンスタントに入ってくるだけにDISにとって旨みは大きいのだ。
オリエンタルランドとDIS(当時の社名はウォルト・ディズニー・プロダクションズ)との間で契約が締結されたのは1979年4月。その数年前から丁々発止の綱引きが続けられていたが、結局、オリエンタルランドはDIS側が主張する「ノウハウは提供しても、リスクは一切負わない」という幕末の日米修好通商条約を彷彿させる一方的な条件を呑むほかなかったのである。