【オリエンタルランド秘史#3】創業1年弱「専務逮捕」で入社した高橋政知

”最初の主役の専務”はあっけなく解任

大三角の買収に成功し、オリエンタルランドの専務に収まった藤生実太郎だったが、その役職を名乗れたのは1年足らずだった。1961年6月、藤生は逮捕されてしまうのだ。直接の容疑は大三角やオリエンタルランドとは無関係だった。東京・練馬区の国有地払い下げに際し、不正な名義替えを行ったなどの容疑である。藤生の自宅やオリエンタルランドに家宅捜査が入った。

その結果、大三角買収での贈賄工作の証拠が続々と出てきた。藤生が社長を務める日本プラスチックの口座がある埼玉銀行(現埼玉りそな銀行)東京支店の小切手手帳の控えに、同一人物宛てに切られたものが多数あった。相手の名前は岡島多三郎。浦安を地盤とする自民党所属の千葉県議である。岡島は元々、露天商を組織する関東岡島組の組長で、面倒見がよく地元では大変な人気があった。この岡島をはじめ浦安の有力者たちに2000万円を超える額が藤生からばら撒かれていた。藤生は岡島らにことあるごとに「いずれは大三角の先に広がる海の埋め立てをして、東洋一のレジャー施設をつくりたい」と語っていたという。

逮捕された藤生はオリエンタルランドの専務を解任された。代わって専務に就いたのは三井不動産社長の江戸英雄の命を受けた高橋政知である。正確には、藤生逮捕の数日前に高橋は招聘されている。江戸やオリエンタルランドと京成電鉄の社長を兼任する川崎千春はまもなく捜査が入るとの情報をキャッチしていた。そこで素早く手を打ったのである。

その胡散臭さに危険を感じていた江戸や川崎にとって、藤生を労せず追い出し、大三角を手に入れることができたのは僥倖のはずだった。だが、一筋縄でいく話ではなかったのである。後処理に相当なエネルギーを割かなければならなかった。

(文中敬称略、#4に続く