《最終回》米司法省 棄却でも残る「起訴の烙印」を消す“不条理な闘い”【逆転の「国際手配3000日」#4】

「完全勝利」までにはまだ時間が…

いずれにしても、有罪に追い込めなかったとしても、一個人を起訴したことを公にしておきながら、起訴取り消しといった、自分たちに都合の悪い結果にはわれ関せずという米司法省のやり方は、怠慢としか言いようがない。

個人にとっては、米司法省がいくら「無罪推定」を掲げようと、起訴を公表された時点で「犯罪者の可能性あり」という烙印を押されることにほかならない。いったん烙印を押されれば、ボーダーウオッチで引っかかるといった実害に直結する。相手が国家だけに、一度貼られたレッテルは容易には剥がせないのだ。

本村氏としては、プレスリリースと起訴状に《更新(UPDATE)》もしくは《注記(NOTE)》を挿入してもらうよう働きかけるのが現実的なやり方となる。現在、弁護士を通じて米司法省に対応を要請しているが、完全な勝利までには、もうしばらく時間がかかりそうだ。

【表】本村哲也氏が公訴棄却を勝ち取るまで

 本村哲也氏の動き関連の動き
1996/3/1早稲田大卒 
1996/4/1日本長期信用銀行入行 
1998/7/1ラボバンク入行 
2008/4頃 米NY連銀がLIBOR不正操作を最初に把握
2010頃 ラボバンクに調査入る
2012/3/末ラボバンクを退職 
2012/10/中シンガポールに移住 
2013/3/下資産運用会社に転職 
2013/10/29 ラボバンク、英米蘭当局に総額7億7400万ユーロ(当時のレートで約1000億円)の罰金支払いに同意
2013/11/18入江源太弁護士に依頼 
2014/1/13米司法省、本村氏らに訴追請求 
2014/1/16シンガポールから帰国 
2014/4/28本村氏ら、米国で起訴される 
2014/10/(2?)シンガポールの資産運用会社が本村氏相手に損害賠償請求訴訟 
2014/10/16本村氏ら、米国で修正起訴される 
2015/6/25本村氏ら、米国で修正起訴される 
2015/10/22 元同僚P・トンプソンが豪で逮捕される
2016/3/10 元同僚A・アレン、A・コンティにそれぞれ禁錮2年、約1年の判決
2016/7/6 P・トンプソン、豪から米に引き渡し
2016/11/9 P・トンプソンに禁錮3カ月の判決
2016/11/11 元同僚P・ロブソンに実刑なしの判決
2017/2/22 元同僚L・スチュワートに実刑なしの判決
2017/3/9 元同僚矢上孝之に実刑なしの判決
2017/7/19 A・アレン、A・コンティの有罪取り消し
2017/7/某日東京・池袋で交通違反、多数の警官に囲まれる 
2020/6/18シンガポール最高裁高等法廷で資産運用会社に勝訴 
2022/1/27 米連邦控訴裁、ドイツ銀行のM・コノリー、G・ブラックの有罪取り消し
2023/6/30 ドルLIBOR提示終了。半世紀の歴史に幕
2023/7/26NY南部地区連邦地裁、本村氏の起訴取り消し 

(シリーズ了)