【経営者と女性スキャンダル#5】醜聞が明るみに出た“マル恥”企業トップ10人

【性加害】
ENEOS ホールディングス
杉森務会長 グループCEO(67歳)

広報対応:プレスリリース有
2022年8月12日 代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ

2022年8月12日、石油元売り最大手のENEOSホールディングス(HD)は、杉森氏本人から代表取締役および取締役を「一身上の都合」で辞任する申し出を受理したとのリリースを発表した。経団連で要職を務めるなど、業界でも “実力会長”として知られた杉森氏の突然の辞任だっただけに、メディアをはじめとする関係者の間でも情報が錯綜。一部には「重病」を危惧する声が上がっていた。

しかし、各社の報道態勢が手薄となるお盆の最中での電撃発表を訝しむ筋があったのも事実。そして9月、『週刊新潮』によって杉森氏辞任の真相が明かされることになる。沖縄県の高級クラブに在籍していたホステスにキスを強要、性加害を加えていたのだった――。新潮の報道後、会社側も杉森氏に「不適切な言動」があったことを認め、当初、一身上の都合での辞任としたのは「被害者のプライバシー保護を最優先したため」としている。ともかくも、杉森氏の一件がその後打ち続く、ENEOSグループのスキャンダルの導火線となっていく。

【セクハラ】
ENEOSホールディングス
斉藤猛社長(61歳)

広報対応:リリース有
2023年12月19日 社長等の処分および異動について(代表取締役の異動等)

2023年12月、ENEOSHDは斉藤猛社長を、懇親の酒席の場で同席していた女性に抱きつく「不適切行為」があったために解任したと発表した。同年11月末に同社のコンプライアンス窓口に内部通報があり発覚した。さらに、谷田部靖副社長がコンプライアンス部門トップにもかかわらず斉藤氏と同席したうえ、不適切行為を招来した“結果責任”から辞任勧告を受けて辞任。また、当該懇親の場の事務局責任者だった常務執行役員も不適切発言があった廉で月額報酬30%を3カ月間減額の処分が下った。

週刊誌などの先行取材を受けることなく、自発的に経営者不祥事を公表した異例の展開だったが、前年の8月に杉森務会長が突如辞任、その後、出張先でのホステス性加害が明かされたのは上記の通り。トップ2代続けて女性問題で退くことになったが、醜聞はこれだけではなかった。

【愛人同伴】
タムロン
鰺坂司郎社長(69歳)

広報対応:リリース有
2023年8月22日 代表取締役および取締役の異動(辞任)に関するお知らせ

2023年8月22日、光学レンズメーカーのタムロンは、鰺坂氏から社長辞任の申し出を受理したとのリリースを発表した。同年7月、同社の外部通報窓口に鰺坂社長が「少なくとも過去5年間、愛人の経営する飲食店を月に複数回利用し、経費で飲食代を落としている」旨の通報があったことが引き金となった。その後、会社が設置した特別調査委員会の調査で、海外出張に愛人を同伴させていたことなどが発覚。調査報告書を公表した23年11月時点で、会社側は鰺坂氏に損害賠償を求める方針を掲げている。

【セクハラ】
ジャパン・リニューアブル・エナジー(ENEOSグループ)
安茂会長(67歳)

広報対応:リリース有
2024年2月21日 当社会長との委任契約解除について

2024年2月21日、ENEOSHD傘下で再生エネルギー事業を手掛けるジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)が、安氏との委任契約を解除し会長職から解任したと発表した。23年12月に同社内部通報窓口に、懇親の場でセクハラ行為があったとの通報を受けたことが発端。JREは4月にENEOSリニューアブル・エナジーに社名変更しているが、ENEOSグループでは22年、23年、24年と3年連続で3人のトップが女性問題で辞任することとなった。

【不倫】
ウエルシアホールディングス
松本忠久社長(66歳)

広報対応:リリース有
2024年4月17日 代表取締役及び取締役の異動(辞任)に関するお知らせ

2024年4月17日、ウエルシアホールディングス(HD)は松本忠久社長が私生活の不適切な行為が理由で辞任したと発表。取引先の中国人女性と不倫関係にあることを『週刊新潮』に報じられ、辞任に至った。同氏は新潮の取材に対し、「すごいですね。何でだろうな。こんなふうにならないように気を付けてはいたんだけど。うそ言ってもしょうがないですね……」と不倫を認めた。ウエルシアHD側の対応は素早く、不倫写真が掲載された当該号が発売される前の辞任勧告の末の電撃退任だった。

                     

日本には3935社もの上場企業がある(2024年5月31日現在)。上で取り上げた10人は“特異な例”といえ、女性(異性)をめぐる醜聞は、絶対的多数の経営者には無縁な問題なのかもしれない。あるいは、事が露見していないだけで、この10人は氷山の一角なのか。女性問題に限らず、不祥事やスキャンダルはメディアによって報じられて初めて不祥事となり、スキャンダルとなる。逆に言えば、衆目に晒されない以上、問題にはならないということだ。

10年以上前、未成年者へのわいせつ行為、淫行が発覚した経営者がいる。一度は辞任したものの、その後、経営トップに返り咲いている。事ほど、日本社会はこの種の行為に寛容なのか。いや、10年の時を経て、世の中は大きく変わったはずだ。明日はあなたの女性問題が報道される番かもしれない。

(了)