“最悪のシナリオ”想定でランプ大統領に臨んだ南アフリカ大統領
5月21日、ホワイトハウスでトランプ米大統領は、南アフリカのラマポーザ大統領との会談中に突然、黒人による白人へのヘイトスピーチなどをとらえた動画を再生し始めて、南アで白人へのジェノサイド(大量虐殺)が進行している、なぜ彼らを逮捕しないのかと、報道陣の前で一方的に糾弾した。
ラマポーザ大統領は当初、動画を静観した上で、南アでは白人よりも黒人のほうが暴力の犠牲になる可能性がはるかに高いと反論。この問題は南アが米国と協議する用意のある懸念事項であり、ネルソン・マンデラ元大統領(2013年死去)の教えのように、問題があるときはテーブルを囲んで話し合いたいなどと、終始冷静に返答した。
さらに、同席していた白人のジョン・スティーンヘイゼン農相に発言を促し、同氏は、トランプ大統領から指摘された問題をごまかすつもりはない、人種問題とは関係なく、警察の能力が低下していることが原因だと説明した。そして、映像に出ていた2人は少数野党の指導者で、大統領と自分らはまさにこのような人物たちを排除するために戦っていることを付け加えた。
2月下旬に、トランプ大統領が、大統領執務室内でウクライナのゼレンスキー大統領と激しい口論となり、一時、対立が深まる異例の事態となってから3カ月後――。南ア大統領との間で、再び“異例のやり取り”が行われたが、ラマポーザ大統領は室内の装飾を称賛するなど冷静さを保ち、来年のG20議長国を引き継ぐことを楽しみにしていると発言したという。
報道では、南ア代表団はゼレンスキー大統領の事例を踏まえ、最悪のシナリオを想定して会談に臨んでいた可能性があると指摘されている。その真偽は別としても、ラマポーザ大統領側が、立場が異なるトランプ大統領との会談で、衝突を回避できたことの意義は大きい(5月22日の日本経済新聞朝刊、BBCジャパン、トムソンロイター記事より)。
再び「インサイダー取引規制違反疑惑」が生じたIRジャパン
同じ頃の日本時間、5月22日の夜、IR(投資家向け広報)、SR(株主向け広報)業務に特化するアイ・アール・ジャパンホールディングス(東証プライム市場上場。IRJ)が、子会社の事業会社アイ・アールジャパンの社員が金融商品取引法(金商法)に違反した疑いで、証券取引等監視委員会(監視委)により強制調査を受けたことが報道され、IRJは23日朝、調査を受けていることを認める適時開示を行った。
報道によると、IR支援業務に従事していた社員が、顧客企業が関連する未公表の重要情報を外部に漏洩してインサイダー取引に関わった疑いがあり、監視委は金商法(インサイダー取引規制)違反として東京地検特捜部への告発を視野に押収資料を分析するとのことだ。
IRJがインサイダー取引規制違反を理由に厳しい法執行(エンフォースメント)を受けたのはこれが初めてではない。