EVスタートアップ「エネチェンジ」によるSPC連結外し
それでも、サムティ(23年3月に報告書公表)やエネチェンジ(昨年6月に報告書公表)による「SPC連結外し」の事案が市場関係者の耳目を集めた。ここではエネチェンジのケースを紹介しよう。
エネチェンジは、エネルギープラットフォーム事業、EV(電気自動車)充電事業などを展開する東証グロース上場企業で、EV充電事業で活用するSPCを連結に含めず、非連結として会計処理を継続していた。
しかし、昨年2月、エネチェンジの監査法人に同社の会計処理に疑義があるとの通報がされたことから、状況が一変した。監査法人の要請で、エネチェンジがデジタルフォレンジックを実施したところ、以下の3点のような事実が判明する。
①当時の経営トップであるCEO(最高経営責任者)が、SPCの最大出資者に対して個人的な融資を行い、また、SPCの事業収入が利息という形でそのCEOに支払われる仕組みがつくられており、CEO、即ちエネチェンジ側がSPCの利益の過半を得る形となっていたこと。
②エネチェンジの社債については、出資者(SPCの社債権者)の出資持ち分の買い取りに関するオプション契約があり、同社からは「行使条件は厳格に定められ、出資持分の買取権行使はできず、社債権者が一定のリスクを負っている」と説明されていたが、実際には、社債権者は制約なくオプションを行使できる状態であったこと。
③SPCの事業計画の達成見通しについて、エネチェンジからは「SPCの事業計画は達成可能であり、社債権者によるオプション行使の可能性は低い」と説明されていたが、実績は計画を下回っており、さらに計画自体も下方修正されていたため、社債権者がオプションを行使してエネチェンジに持ち分を売却する可能性が高いこと。
デジタルフォレンジック調査の結果を受けて、監査法人はSPCを連結範囲に含めるべきとエネチェンジ側に伝え、同社は監査法人の指摘を受け入れSPCを連結範囲に含めた。
非連結だったSPCを連結に修正した結果、エネチェンジのSPCに対する売上高が消去され、23年12月期の売上高が修正後で22億円減少、売上総利益も10億円減少、減損損失が16億円増加し、当期純損失も38億円悪化して債務超過となった。そして財務制限条項にも抵触したため、「GC注記(継続企業の前提に関する注記)」が付された。