ストラテジックキャピタルのガンホーに対する「公開アクティビスト活動」
スマートフォンゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)を手がけるガンホー・オンライン・エンターテイメントの5%強の株式を昨年10月に保有したことが大量保有報告書で判明した和製アクティビスト(物言う株主)、ストラテジックキャピタル(SC)。
さる1月30日、SCはガンホーに対して株主価値向上のため、経営者の「報酬ガバナンス」と資本政策に関して株主提案権に係る権利を行使する旨の書面を発送、および提案に関する特集サイトを開設したことを公表し、ガンホーに対する公開アクティビスト活動、いわゆる「キャンペーン」を開始した。
【ストラテジックキャピタル特集サイト】ガンホー再起に向けた抜本的改革のために
https://stracap.jp/3765-GUNGHO/
SCの代表者である丸木強氏は、野村証券に入社して数々の業務を経験した後、旧村上ファンド創業時のコアメンバーの1人となったが、2006年に村上世彰氏がインサイダー取引で失脚。12年にSCを設立し、積極的にアクティビスト活動を展開している。
アクティビストは、水面下で発行体企業の経営陣と接触し、口頭での議論、書簡や詳細なプレゼン資料“ホワイトペーパー”を示して経営方針の変更などにつきエンゲージメントを行うことが通常である。
ところが、今回はガンホー側がSCからの面談要請に応じなかったため、キャンペーンに切り替え、来る3月の定時株主総会における委任状争奪戦に向けて上記のような特集サイトが設置された。
同サイトには、13年かけてヒット作ゼロの状況、“ゲーム会社”を言い訳にした怠慢経営などといった激しい批判が展開され、成果と逆行する経営者の報酬引き上げは、報酬ガバナンスの観点から問題があるとしてガンホーの株主総会で株主提案を行うという厳しい提言がなされている。
これに対して、ガンホーは2月14日、SCの株主提案に反対する旨の意向を表明するとともに、同日付で報酬決定方針を改定し、取締役の報酬水準を審議する「指名・報酬委員会」を独立社外取締役から選任するよう変更するなどして、発行体企業とアクティビストの対立は総会を控え先鋭化している。
ここでは、議論の内容や両者の主張の当否などには立ち入らず、SCが掲げる報酬ガバナンスをめぐる株主提案のひとつである「固定報酬および業績連動報酬の構成比の変更提案」(現状の固定1対業績連動1から1対3に変更)を題材として、上場企業における経営者の報酬ガバナンスを考えたい。