King Gnuの「IKAROS」と、経営判断原則の要諦【遠藤元一弁護士の「ガバンス&ロー」#3】

経営判断を誤らないように「他社の不祥事事例」を学習せよ

昨今、①業績見通しが不確実か、すでに窮境に陥った企業を買収したり、金融支援を実施的にする場合、②ポートフォリオを大胆に組み替えて、新規事業に投資する場合など、それまで経験していないリスクを伴う事項の経営判断の機会が増えており、経営判断の原則を意識することの重要性が一層高まっている。

また、③不祥事が発生したが、まだ具体的な法令違反と確実に認識しておらず、法令でも報告・届出等が定められていない場合、どのように対処するかも高度な経営判断事項である。

直ちに公表に踏み切っても、不祥事を生じさせたことについて峻烈な社会的な批判が予想され、また、取引先等にも迷惑をかけることなども公表を躊躇させる要因となることは理解できないではない。しかし、たとえ一時的に信用が毀損することになろうとも、自社のミッションやパーパスに適う行動をとるべきとの確かな判断軸に基づき、監督官庁に自発的に届出を行い、自社のウェブサイト等で商品・サービスの利用の停止を呼びかける対応を行うことが、早期の信頼回復のためには望まれる経営判断である。

ダスキン(未認可添加物が混入した肉まん)以後、東洋ゴム工業(技術的基準に適合しない免震ゴム製品)、小林製薬(腎機能を害する成分を含む機能性食品)など、決断のタイミングの遅れが企業価値の著しく毀損する事例が後を絶たない。普段から同業他社の不祥事事例などを学習することも肝要である。

企業の存続・発展には、イカロスのような無茶振りではなく、堅実・保守的な運営を基軸として必要に応じて積極的な経営判断に踏み切ることが重要であることをKing Gnuが歌う「IKAROS」からの“学び”としたい。

(隔週連載、#4は10月31日公開予定)