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【2025年1月29日「適時開示ピックアップ」】南海電鉄、GMO、ソニー、コンコルディアFG、ヨシムラ・フードHD、BRUNO

1月29日の東京株式市場は4日ぶりに反発した。日経平均株価の終値は前日比397円高の3万9414円だった。前日の米国株の値上がりを好感した。そんな29日の適時開示は212件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。

「南海電鉄」が3月に鉄道事業の新会社設立へ

東証プライムで鉄道事業の分社化する方針を示していた南海電気鉄道は、3月3日に新会社「南海電気鉄道分割準備株式会社」を設立すると発表した。南海電鉄の完全子会社となる。正式には6月との株主総会と国土交通省の許認を得てから運営を始める。

南海は昨年10月、意思決定のスピードを高め、機動性も強化するため分社化することを決めていた。今後、南海電鉄は不動産などの事業に集中するという。

南海電鉄の有価証券報告書(2024年3月期)によると、鉄道事業の売り上げは656億円で、全体の27%を占める中核事業。それを分社化するという経営判断に注目が集まる。

【南海電気鉄道】鉄道事業の分社化に向けた分割準備会社の設立に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250129557104.pdf

「GMO」ダイヤモンド・オンライン記事に“事実誤認”と指摘

東証プライムで総合ネット事業のGMOインターネットグループは、経済ニュースサイト「ダイヤモンド・オンライン」が配信した同社が絡む損害賠償訴訟に関する記事について、〈事実誤認がある〉とのリリースを出した。

この記事は《GMOが900億円超の巨額賠償訴訟! 熊谷氏“肝いり”の仮想通貨マイニング事業失敗で米企業と泥沼トラブル》タイトルで、会長兼社長の熊谷正寿氏が主導する格好で始めた仮想通貨の事業が失敗し、米国企業とトラブルになっているという内容。

これについてGMOは、事業の失敗ではなく、〈コスト削減の為、移転したもの〉などと説明している。記事のタイトルについても、「GMOが賠償を求められている」と誤認される恐れがあると指摘。実際は、GMOが請求しているものだと説明するなど、別紙で“正誤表”のようなリストを付ける形で反論している。

ちなみに、配信元のダイヤモンド社を名誉棄損で提訴するといった内容はリリースには記載されていない。

【GMOインターネットグループ】ダイヤモンド・オンラインの記事について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250129557167.pdf

「ソニーグループ」で十時裕樹社長が社長兼CEOに

東証プライムのソニーグループは1月29日開催の取締役会で、社長でCOO(最高執行責任者)兼CFO(最高財務責任者)の十時(ととき)裕樹氏が4月1日付でCEO(最高経営責任者)に就くと発表した。これまでCEOは会長の吉田憲一郎氏が務めていたが、会長職に専念する。

十時社長は以下の通り、コメントしている。

「大任を拝命することになり、一層身の引き締まる思いです。一方でCEOとして、 約11万人の社員と共にソニーの更なる進化、成長に挑戦できることは楽しみでもあります。平井、吉田がCEOとして大いに価値を高めてきたソニーを受け継ぎ、より良いソニーを次世代につなぐために全力を尽くします」

社長とCEOの役割は各社によって違うが、ソニーグループは今後、十時氏に権限を集中させることで企業価値を高めたい考えだ。

【ソニーグループ】ソニーグループの新経営体制について(CEO の交代及び代表執行役の異動等)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250129556764.pdf

「コンコルディアFG」10月から社名を“横浜FG”に変更

東証プライムで、横浜銀行と東日本銀行などを傘下に持つコンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)は今年10月1日から、社名を「横浜フィナンシャルグループ(FG)」に変更すると発表した。

〈国内外のステークホルダーに対し、当社の事業ポートフォリオをより広く、わかりやすく認知していただきたい〉との理由を示している。併せて、6月開催の定時株主総会後に監査役設置会社から監査等委員会設置会社に移行することも発表した。

なお、コンコルディアFGの本店は神奈川・横浜市ではなく、東京・中央区にある。

【コンコルディア・フィナンシャルグループ 】商号の変更および監査等委員会設置会社への移行に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250129557052.pdf

「ヨシムラHD」北海道子会社の代表者がインサイダー取引

東証プライムで中小食品企業の合併・買収(M&A)を手掛けるヨシムラ・フード・ホールディングス(HD、東京・千代田区)は、証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反(内部者取引および情報伝達)の疑いで子会社の役員が告発されたことを明らかにした。

監視委によると、子会社のワイエスフーズ(北海道)の代表取締役が、自社株式をヨシムラHDが買い付けること事前に知ったうえで、株式2万株(1622万円相当)を買い付けるなどのインサイダー取引をした疑い。

今後の行方は不明ながら、子会社トップがインサイダーに手を染めているのが事実であれば、ヨシムラHDのグループガバナンスそのものに疑義が集まりかねない。

【ヨシムラ・フード・ホールディングス】当社株式の内部者取引に対する告発について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250129557556.pdf

インテリア「BRUNO」中国の商標権訴訟で勝訴

東証グロース上場でインテリア雑貨などを扱うBRUNOは(東京・新宿区)、中国の商標権侵害訴訟で勝訴したと発表した。

中国における元販売代理店「臻信社」が無断でBRUNOブランドの商標を付け商品を製造・販売し、BRUNOが臻信社を訴えていた。

杭州市中級人民法院(中国・杭州市)は昨年12月31日、商標の侵害行為を直ちに停止することや、損害賠償金として900万人民元(約1億9000万円)の支払いことを含めた判決を言い渡した。

ただ、臻信社は1月16日に上訴。今後も争いは続く見通しだ。

【BRUNO】中国における商標権侵害訴訟の勝訴判決(第一審)に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250129557107.pdf

(平日連載、1月30日公表分に続く

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