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【2025年2月19日「適時開示ピックアップ」】日本プロセス、アドソル日進、くら寿司、ソケッツ、tripla

2月19日水曜日の東京株式市場は3日ぶりに反落した。日経平均株価は前日から105円値を下げ、3万9164円で終えた。為替相場で円高ドル安が進行し、売り優勢となった。そんな19日の適時開示は189件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する

システム開発「日本プロセス」と「アドソル日進」がガバナンス・コード理由に提携解消

東証スタンダート上場でシステム開発の日本プロセス(東京・品川区)は、東証プライムの同業、アドソル日進(東京・港区)との業務資本提携を解消すると発表した。

注目したいのは、提携解消の主に理由として、東証が運用する「コーポレートガバナンス・コード」(CGコード)の存在を挙げていることだ。

CGコードは、政策保有株(株式持ち合い)の縮減を求め、方針も開示するよう促している。日本プロセスはこの縮減の動きを前提に両社で協議した結果、提携解消に至ったと説明している。

今後、協力関係は維持するというが、 CGコードによって資本提携を解消するという珍しいケースと言えそうだ。なお、アドソル日進も同様のリリースを出している。

【日本プロセス】アドソル日進株式会社との業務資本提携の解消について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250219578965.pdf
【アドソル日進】日本プロセス株式会社との業務資本提携の解消に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250212570639.pdf

「くら寿司」が株主優待を2カ月で再開

東証プライムのくら寿司は、株主優待制度を再開すると発表した。昨年12月11日に今春をもって廃止することを公表していたが、わずか2カ月余りで方針を再び転換したことになる(本誌関連記事)。

くら寿司は方針転換の理由について、多くの株主から再開などの意見や要望があったためと説明している。新たな優待制度は、100~199 株で食事券2500円分、200~399株で食事券5000円分などとなっている。

株主優待については株主平等性の観点からも種々の問題が指摘されるところだが、わずか2カ月余での方針転換。株主からのそうした反応は予期できたと思われ、熟慮の末の決定だったのか疑問が残る。

【くら寿司】株主優待制度の再導入に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250219579015.pdf

コンテンツ制作「ソケッツ」“裁判継続します”というリリース

東証スタンダードで音楽や映像のデータ開発、ソケッツ(東京・渋谷区)は、「同期歌詞生成システム」に関する裁判について「今後も粛々と継続する予定」というリリースを出した。

同期歌詞生成システムとは、歌の再生に合わせて歌詞を自動的に表示する技術のことで、このシステムができるまでは、楽曲の流れに合わせて手作業で歌詞を表示させていたという。

この技術をめぐり、ソケッツと同社が技術を提供したレコチョク(未上場、東京・渋谷区)が、音楽コンテンツの制作・配信を行うシンクパワー(未上場、横浜市)から権利侵害で訴えられていた。

今回、レコチョク社とシンクパワー社が和解したが、ソケッツはこれまで通り裁判で争っていくことを強調している。裁判は 2018年に始まった。今年で7年という異例の長期間に及んでいる。

【ソケッツ】当社係争案件に対する見解について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250219578891.pdf

ホテル予約サイト運営「tripla」株主総会の質疑を文章で開示

東証グロースでホテル向けの予約サイトを提供するtripla(トリプラ、東京・新宿区)は、1月29日に開催された株主総会での質疑を文書で公開した。計12項目の質問に対し、詳細な回答が記されている。

例えば、「営業費用が大幅に増加している」とその理由を尋ねた株主に対し、「人員増加に伴い、オフィス移転及び増床、PCやツールの増加、人件費や損益に伴う租税効果などの費用も増加した」などと説明している。

「投資家との話し合いの状況」との問いには、「多くの機関投資家と意見交換を行っている」と述べたうえで、昨年12月の決算発表から今年1月にかけて21社と打ち合わせを行ったと説明。

投資家との面談は基本的にCEO(最高経営責任者)の高橋和久氏が対応しているが、 CFO(最高財務責任者)の岡義人氏が応じることもあるという。今後、IR(投資家向け広報)担当者を設けることも検討する。

今回のように株主総会の質疑を文書で開示する企業も出てきている。また、この数年、質疑も含めて動画で公開する企業も増えており、情報開示が着実に進んでいることだけは確かだ。 なお、株主からは東京証券取引所がさる1月に発表した「機関投資家からのコンタクトを希望するグロース市場上場会社の一覧表」を挙げて、「triplaの名前が記載されていないため、その一覧に載せてはどうか」との意見もあったという。

【tripla】第10回定時株主総会の質疑応答の要旨
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250219578802.pdf

(平日連載、2月20日公表分に続く

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