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【2025年1月9日「適時開示ピックアップ」】クシム、キユーピー、IIJ、ZACROS、セブン&アイHD

1月9日の東京株式市場は続落した。日経平均株価は前日から375円値下がりし、3万9605円で引けた。材料に乏しく、終日、安値で推移した。そんな9日の適時開示は153件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

暗号資産「クシム」の社内調査委が“情報漏洩”を認定

東証スタンダード上場で、ブロックチェーンの開発や暗号資産の交換所を運営するクシム(東京・港区)は、取締役による情報漏洩の疑惑を調べていた社内調査委員会の報告書を受け取ったと発表した。

この取締役は田原弘貴氏。社長調査委員会は、昨年11月5日、都内中華料理店でのランチ会で、第三者の会社役員らに対し、経営統合や新株予約権の発行予定などの未公表の情報を漏らしたと認定した。

また、この情報は金融商品取引法のインサイダー取引として規制される重要情報に該当すると判断した。

同委はこれらの原因として、①田原氏の情報管理に対する意識が低かった。②田原氏がクシムの経営を不満に感じ、当該会社役員らと親密だった、などを挙げた。 クシムは昨年11月、情報漏洩の疑いがあるとして田原氏に対して辞任勧告(本誌既報)している。リスクマネジメントは言うに及ばず、コーポレートガバナンス上も由々しき問題と言える。

【クシム】社内調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250109548507.pdf

「キユーピーマヨネーズ」100周年で記念配当

東証プライムのキユーピーは、今年3月に「キユーピーマヨネーズ」の発売100周年を迎えるため、記念配当を実施すると発表した。1株あたり年間10円で、普通配当と合わせて64円となる。

【キユーピー】2025年11月期 キユーピー マヨネーズ発売100周年記念配当に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250109548401.pdf

官僚OBのトップ交代「IIJ」新社長は“不祥事で退任”元総務審議官

東証プライムでITサービスの草分け的企業、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、勝栄二郎社長(74)が退任して取締役になり、谷脇康彦副社長(64)が社長に昇格する人事を発表した。

勝氏は元財務事務次官で、谷脇氏は総務省のナンバー2にあたる元総務審議官で、官僚同士のバドンタッチとなった。谷脇新社長は、NTTによる接待問題で21年3月に総務省を辞職していた。

【インターネットイニシアティブ】代表取締役の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250108547887.pdf

ランサムウェアで「ZACROS」14万人分の個人情報が流出の懸念

東証プライムで樹脂包装材大手のZACROS(ザクロス、昨年10月に藤森工業から社名変更)は、ランサムウェアの被害に関する社内調査を終えたと発表した。

流出した懸念のある個人情報は、取引先など14万3718人分で、氏名と社名、役職など。また、ZACROSの役員職制図の情報(38人分)が実際に流失していた。引き続き外部専門調査会社による調査を続ける予定だ。

【ZACROS】ランサムウェア被害による個人情報の流出懸念および当社の対応と再発防止策のご報告
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250109548228.pdf

「セブン&アイHD」大幅減益でクシュタールの買収圧力激化か

東証プライムのセブン&アイ・ホールディングス(HD)は2025年2月期の第3四半期決算(3〜11月)を発表した。純利益が前年同期比65%減の636億円で、北米でインフレが続き、節約志向が強まったことが響いたという。

同社は現在、カナダの同業アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けている。今回の業績の悪化により、株主の圧力がより高まる可能性もある。

クシュタールの買収を避けるため、創業家の伊藤家を中心としたMBO(経営陣買収)による株式非公開化の可能性も指摘されており、報道によると、5月下旬に株主総会までに一定の判断をするという。

【セブン&アイ・ホールディングス】2025年2月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250108548063.pdf

(平日連載、1月10日公表分に続く

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