ブリヂストン荒川詔四元社長「臆病な経営が2025年のガバナンスを拓く」【新春インタビュー#1】
原理原則に則りながら“自由な経営”を
2025年の予測ですが、米国でトランプ政権が再び始まることは言うに及ばず、確かに非常に混沌として、何が正しくて何を守っていけばいいのか――これがまったく分かりにくい時代と言えます。しかし、はっきりしているのは、企業経営の基本は今後も世界中で変わらないということです。
ひとつはコーポレートガバナンスやリスクマネジメント。これらを継続的に強化していくということが第一歩です。それからもうひとつは、繰り返しになりますが、原理原則を堅持して、正攻法で真正面からの経営をするということです。そして、この両輪で会社と自分自身をきちんと守りながら経営を行えば、継続的に会社を成長させることができるはずです。
会社のことばかり言うと、特に若い経営者の方には響かないかもしれません。とはいえ、原理原則に則った経営をするということは、究極的に自分自身をも守ることになる。海外に行くと、日本では特に問題にならない企業活動が、その国や地域のルールや法律に抵触して非常に大きなリスクに発展する可能性があります。しかし、それも原理原則に立ち戻って考えれば、多くの場合、回避することができるものです。
一方、ガバナンス強化と原理原則の遵守というと、自分の行動が狭められる、息苦しいというふうに受け取る経営者がいるかもしれません。しかしそうではなく、ルールを守ってきちっとした原理原則に合う行動をすれば、あとは自由に考えていいということにほかなりません。
だからむしろ、いろいろなことを考えて“大らか”に経営していく、あるいは元気いっぱいに経営していくには、コーポレートガバナンスと原理原則はますます重要なポイントになるのです。
自分の頭で考えて、自分の意思できちっと経営判断をしていく。原理原則から外れることは一切しないという経営が私自身を守ってくれたし、経営者として会社を守ることができた。
コーポレートガバナンスと揺るぎない原理原則は、自分自身と会社を守る“プロテクター”なのです。
悩みながら、臆病に小心に経営を行う――。自由な発想で自由に経営を行うためには、そうした姿勢こそ大切だと、若い経営者のみなさんにお伝えしたい。混迷が深まる世界にあっても、何も浮足立つことはないのです。
(取材・構成=編集部)
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