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英国に降り立った「LIBOR“不正”操作事件」元日本人被告の過酷【逆転の「国際手配3000日」#1】

大手銀行とトレーダーが一網打尽に

LIBORは、ロンドンの金融街シティーの金融機関を束ねる民間業界団体、英銀行家協会(BBA)に属する主要金融機関(パネル銀行)が提示する、ドル、円など5通貨の金利データの平均に基づいて算出された金利指標だ。1日物から1年物まで7つの期間について、毎営業日、公表されていた。

LIBORは住宅ローンから金融派生商品(デリバティブ)に至るまで、金融取引の参照金利として、広く利用されていた。しかし、金融危機時に、各金融機関が自社の信用力の低下を覆い隠すため金利を低めに操作したり、トレーダーが自身や仲間内の取引ポジションに有利になるように調整したりするといった慣行が発覚(事件を経て、LIBORの算出は2023年6月末で終了)。

各国当局が金融危機の犯人探しに躍起になる中、ラボバンクのほかドイツ銀行、スイスのUBS、米シティコープなど名だたる金融機関が摘発され、当時の為替レート換算で計約1兆円ものペナルティーを科された。

LIBOR不正操作事件で金銭的ペナルティーを科された主な金融機関

発表時期金融機関名当局ペナルティー
2012年6月27日バークレイズ(英)英、米2億9000万ポンド
(約360億円)
2012年12月19日UBS(スイス)英、米、スイス14億スイスフラン
(約1290億円)
2013年2月6日RBS(英)英、米3億9000万ポンド
(約570億円)
2013年10月29日ラボバンク(蘭)英、米、蘭7億7400万ユーロ
(約1045億円)
2013年12月4日ドイツ銀行(独)、ソシエテ・ジェネラル(仏)など6社欧州委員会計17億ユーロ
(約2370億円)
2014年7月28日ロイズ(英)英、米2億1800万ポンド
(約377億円)
2015年4月23日ドイツ銀行米、英25億ドル
(約3000億円)
2015年5月20日UBS2億300万ドル
(約242億円)
2016年5月25日シティグループ(米)4億2500万ドル
(約470億円)
注:ペナルティーの内訳は罰金、制裁金、不正利益返還など。円への換算は発表当時のレートを用いた

法人とは別に、個人も米英両国で相次いで訴追された。特に英国での責任追及は厳しく、UBSやシティグループの東京法人で名を馳せた英国人の元トレーダー、トム・ヘイズ氏は、5年半服役した(当初の刑期は11年)。

米当局も英国に負けじとばかりに、本村氏らラボバンクの7人をはじめ、ドイツ銀行、仏ソシエテ・ジェネラル、UBSなどの元トレーダー計15人を次々に摘発した。

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