特設サイトで追及されたオアシスの疑惑
株主提案の候補者のひとりで元ボストンコンサルティング・グループの沖本普紀は、オアシス・マネジメントCIO(最高投資責任者)のセス・フィッシャーがフジテック社長の岡田隆夫(当時、2023年6月株主総会をもって退任)に宛てて送ったメールを引き合いに、こう批判してみせた。
「(2023年)2月以降、社外のボードメンバーが変わってからフジテックは、企業の本源的な価値である経営戦略を何も語っていない。役員の人事ばかりをいじくっている。オアシスは、取締役会に対して『内山高一氏の会長職を解任しなさい』というような非常に失礼な口調で命令をしています。これに今のボード(取締役)は、唯々諾々と従っている。大変な問題です」
持ち株比率17%に過ぎないオアシスが、取締役会を支配している――。約10%程度の持ち株比率の創業家支配を批判してきたオアシスの支配構造もまた、同種の矛盾を抱えるものだった。
旧日興証券出身の木村は、オアシスのキャンペーン手法について、こう語った。
「ファンドが関連当事者取引をスキャンダラスに突くことは、ファミリー企業に対して食い込もうとするときの常套手段。株主に疑惑を残す非常に巧妙な手法です。しかし、その内容をよく見ると、全てが推論に過ぎず、(内山が名誉棄損訴訟を提起しているように)ファクトではありません」
一方、当の木村は、こうしたアクティビストの手法に対して内山らの対応が「甘かった」とも語る。この反省に立った内山は、オアシスと同様に情報戦を展開した。「FREE FUJITEC」というサイトを立ち上げると、徹底的にオアシスのネガティブキャンペーンを張ったのだった。
オアシスが指摘した関連当事者取引の疑惑を否定するばかりか、内山の名誉棄損訴訟の訴状も掲載されたほか、オアシスに事業戦略がないと指摘する株主提案のプレゼンテーション資料は80ページにも及んだ。オアシスが過去の株主総会のたびに詳細なプレゼン資料を作成して創業家を攻撃したように、内山も微に入り細を穿つ資料で反撃した。
