BM不正請求の実態を把握していた損保ジャパン
ビッグモーター社員からの情報提供
2022年1月14日、ビッグモーター社員から保険金不正請求の情報提供があり、損保ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険は、2人の情報提供者と1月末から5月末まで4回にわたって面談し、事情を聴取しました。面談では情報提供者は、不要なタワー牽引作業、損傷個所の偽装、高機能塗装が指示されているが水性クリア塗装しかしないなどの不正を証言しました。そして、この情報は損保ジャパンでは関係各部にも共有され、5月17日には社長を含む役員にも報告がなされました。この時点では白川社長は事態を重く受け止め、厳正な対処を指示していたのです。
損保会社の「車両紹介停止」にビッグモーター逆襲
損保3 社はビッグモーターに対して 4 工場を指定して自主調査を要請、6 月 9 日から調査が始まりました。自主調査は、損保会社からビッグモーターに出向していた社員とアジャスター(技術専門調査員)が担当し、部品伝票と見積書との突き合わせ、損傷箇所を撮影した写真の確認、作業指示書の確認等が行われました。その結果、情報提供者が訴えたような手口による保険金の不正請求が確認されたのです。
損保ジャパンは、この調査結果を踏まえ、6月15日にビッグモーターへの車両紹介を停止し、東京海上日動、三井住友海上も同時期に停止しました。
これに対して、ビッグモーターはすぐに損保3社に報復手段を取ります。6月22日、ビッグモーターは損保3社の車両紹介停止に対抗し、損保 3 社に対し自賠責保険の契約締結を停止する旨の連絡を行いました。
調査結果の改竄を指示したビッグモーター
自主調査結果報告後の 6 月下旬頃、ビッグモーターの担当部長は、調査を実施したアジャスターに対し、表現ぶりのみならず記載内容そのものを改竄するよう指示しました。
例えば、「工場長による不正な指示があり、嫌になって辞めていった作業員が多い」という記述を抹消し、「指示はない」との記載に改竄されています。調査を実施したアジャスターは、部長の改竄指示に憤慨したものの、当時は損保ジャパンからの出向中の身 であり、損保ジャパン自体にも 強い影響力を有していた部長の指示に反することはできず、これに従いました。ただし、このような報告書の改竄が重大な問題であるとは認識していたので、後日の証拠となるよう、上記改竄前と後の両方のデータを保存していたのです。
そして、このアジャスターは損保ジャパンの営業担当者に、改竄指示があったことを伝えるとともに、USB に保存していた改竄前と後の調査シートデータを会社アドレスにメール送信して報告しました。ビッグモーターの改竄指示については、損保ジャパンの本社部門にも伝えられ、7月4日には、営業部門長から社長ら経営陣に対しても報告されました。
しかし結果的に、この出向者の声が届くことはありませんでした。
(#6に続く)