昨日4月30日の日経平均株価は前営業日28日比205円高の3万6045円で引けた。そんな30日の適時開示は554件だった。
船舶用エンジン「データ改竄」調査の過程で新たな不正
東証プライム上場でプラント・機械大手のカナデビア(昨年10月、日立造船から社名変更)は4月30日、船舶用エンジン事業“以外”で発覚した不適切行為についての調査結果、およびその再発防止策を策定したことを発表した。
発端は、日立造船(当時)で昨年7月、連結子会社2社で船舶用エンジンの燃料消費量データを改竄していたことが発覚したことだった。公表直後には当該子会社に国土交通省が立ち入り調査を実施する一方、同社は長島・大野・常松法律事務所の3弁護士を委員に特別調査委員会を設置した。
カナデビアへの社名変更の直前となる同年9月、中間報告を国交省に提出したが、この過程で燃費に加えて、排ガス成分濃度でも書き換え等があったことなども判明。さらに今年2月には、船舶用エンジン事業以外でも進めていた調査で、溶接資格のない作業者が橋梁などの製作に従事していたという不正も明るみに出た。
そして今年3月25日、特別調査委がまとめた調査報告書を発表するに至る。
報告書によると、船舶用エンジンの燃費データ改竄については、2012年段階でなされていた内部通報が事実上棚上げにされ、そして15年には会長・社長にまで不正が報告されていたにもかかわらず、データ改竄をやめるよう指示されることはなく、黙認された。さらに、不正は12年の通報時点で、すでに少なくとも30年は続くものと認識されていたともいう。
カナデビアは同日、社長が昨年7月の不正発覚後初めて記者会見に応じ謝罪。船舶用エンジン不正の再発防止策を発表した。ところが、事態はこれだけに収まらなかった。
というのも、特別調査委が船舶用エンジン事業以外についても調査した結果、上記の無資格者による溶接作業に加えて、可燃ごみ処理施設やし尿処理施設での不正など、5拠点で35件の不正が発覚したことが、同時に発表されたのだ。
今回、新たに再発防止策を発表したのは船舶用エンジン事業以外について。例えば、溶接資格をめぐる不正の防止策としては、資格確認の徹底や記録、作業の監視体制強化、作業前のミーティングの実施などといった項目が並ぶ。
報告書でも組織風土について指弾されたカナデビア。リリースで〈組織⾵⼟改⾰・意識改⾰、品質保証体制の⽴て直し及び強化を含め、当該再発防⽌策に定める諸施策を引き続き実施してまいります〉と締め括っている