【2024年11月13日「適時開示ピックアップ」】ジェイフロンティア、MUTOHHD、アウトルックコンサル、エネチェンジ、元旦ビューティ工業、ワイハウ、みずほFG、楽天
11月13日の東京株式市場は続落した。日経平均株価は前日から654円安い3万8721円で引けた。前日の米ダウ平均下落を受けたと見られる。そんな13日の適時開示は、956件となった。この中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。
医薬・健康食品通販「ジェイフロンティア」広告取引で売り上げの水増しとの調査報告書
東証グロース上場でオンラインによる診療や薬の宅配、医薬品や健康食品の通販を手がけるジェイフロンティア(東京・渋谷区、2008年設立)は、不適切な会計処理に関する特別調査委員会の報告書を公表した。
監査法人アヴァンティアから、広告取引の売り上げなどに疑義があるとの指摘があり、7月にななつぼし監査法人統括代表社員で公認会計士の米永隆司氏を委員長、同じくななつぼし監査法人の安田幸一氏と、ジェイフロンティア監査役の榊原一久弁護士(司綜合法律事務)を委員とする調査委を設置して調べていた。報告書では、役員らが仕入れ先と組んで、売り上げを水増ししたことなどが記されている。予算を達成するためだったという。監査機能の強化などの再発防止策も提言した。
【ジェイフロンティア】(差替)「特別調査委員会の調査報告書に関するお知らせ」のファイル差替について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113522121.pdf
プリンター会社の「MUTOHホールディングス」TOBも上場は維持
東証スタンダードで業務用プリンターのMUTOHホールディングス(HD、東京・世田谷区)は、投資・不動産業の豊栄実業(東京・豊島区)によるTOB(株式公開買い付け)について、賛同意見を発表した。上場は維持される見通し。今回のTOBについて、投資会社側は「株式を適切かつ効率的に管理することで経営の安定化を図る」と説明している。
【MUTOHホールディングス】TCS-1 投資事業有限責任組合、TCS-2 投資事業有限責任組合、 TCS-3 L.P.、TCS-4 L.P.及び豊栄実業株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113521669.pdf
「マネーフォワード」が「アウトルックコンサル」をTOBでIT企業再編
東証グロース上場で経営管理システムの開発と導入支援をてがけるアウトルックコンサルティング(東京・港区)は、東証プライムで業務ソフトや決済などのフィンテック事業に取り組むマネーフォワード(東京・港区)によるTOBに対し、賛同すると発表した。マネーフォワードはアウトルックコンサルティングを子会社化し、シナジー効果を出すという。上場は維持される見通し。
【アウトルックコンサルティング】株式会社マネーフォワードの子会社(マネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング 株式会社)による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明並びに同社との資本業務提 携契約の締結に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113521540.pdf
エネテック企業「エネチェンジ」が1年前の決算短信を訂正
デジタル技術を使ったエネルギーサービスを提供する東証グロース上場のENECHANGE(エネチェンジ、東京・中央区)は、2023 年12月期第3四半期の決算短信を訂正した。昨年11月の公表では、売上高39億2000万円としていたが、新たに32億3000万円に修正した。
下記本誌関連記事で既報のエネチェンジは、電気自動車(EV)の充電事業をめぐる特別目的会社(SPC)の不適切な会計処理が発覚。外部調査委員会が創業者で前最高経営責任者(CEO)への権限集中などを指摘していた。
《関連記事》エネルギーテック企業エネチェンジ「会計疑義問題」3億円の第三者委員会がシロ判定でも“創業者は追放”への疑問
https://cgq.jp/gq-report/5010/
【エネチェンジ】(ENECHANGE訂正)「2023 年 12 月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正 及び 2023 年 12 月期第3四半期報告書の訂正報告書の提出に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113522068.pdf
金属屋根メーカーの「元旦ビューティ工業」がMBO
金属屋根メーカーで東証スタンダード上場の元旦ビューティ工業(神奈川・藤沢市)は、MBO(経営陣による買収)に踏み切る。創業会長で同社の株式の29%を持つ舩木元旦(もとかつ)氏が代表を務める資産管理会社Sunnyが11月14日から12月25日まで、TOBを実施する。上場廃止になる見通しだ。
元旦ビューティー工業は今後、新製品・工法の研究開発に力を注ぐ考えで、「成果が出るかは不確定であり、成果が出て投資が回収できるまでには相応の期間を要することが想定される」などとMBOの理由を説明している。
【元旦ビューティ工業】MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241113522023.pdf
弁護士がトップ「ワイハウ」有価証券報告書を“承服できないが訂正する”
東証スタンダード上場でサーバーの構築やITサポート、飲食事業まで展開するTHE WHY HOW DO COMPANY(ホワイ・ハウ・ドゥ・カンパニー=ワイハウ、東京・新宿区)は、2019年8月期の有価証券報告書を訂正した。2億7800万円の純損失を3億4800万円に修正した。
同社によると、関東財務局は24 年7月17日にソフトウエアの会計処理に絡んで売上原価を過小に計上したとして、有価証券報告書などの訂正を命じた。これに対し、ワイハウ側は、会計基準に則って処理しており、この命令には承服できないものとして、東京地裁で提出命令の取消訴訟の提起する方針という。一方で、命令に従わない場合、金融商品取引法に基づく罰則が適用される可能性もあり、訂正したと説明している。
ちなみに、ワイハウ社の創立は04年、24年8月期の売上高は7億4000万円で、当期純利益は9億6000万円の赤字だった。会長兼社長の田邊勝己氏は弁護士資格を持ち、ワイハウ経営の傍ら、カイロス総合法律事務所の代表社員も務める。従業員は連結で33名(23年8月期)。
【THE WHY HOW DO COMPANY】過年度の有価証券報告書の訂正報告書の追加提出及び過年度の決算短信の訂正に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241108516804.pdf
「みずほFG」が楽天カード株式の14.99%の株式を取得
メガバンク、みずほフィナンシャルグループ(FG)は、楽天カード(未上場)の株式の14.99%を楽天グループより取得すると発表した。資金繰りなど法人サービスにたけたみずほFGと、クレジットカードを営む楽天カードが協力して、新たな顧客を獲得する計画だ。今年12月から、楽天ポイントが貯まり、ATM手数料が優遇されるクレジットカードを発行する予定という。
【みずほFG】みずほフィナンシャルグループ及び楽天カードによる 戦略的な資本業務提携について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241112518821.pdf
(平日連載、2024年11月14日公表分に続く)
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