8年を経ても結審しない日本郵政とソフトバンクの巨額訴訟
・【原告】ソフトバンク【被告】日本郵政インフォメーションテクノロジー【内容】請負報酬、損害賠償、報酬支払反訴【現状】高裁
そして今回の注目案件は、日本郵政グループのネットワークの光ファイバー化で起こった遅延をめぐる巨額泥沼訴訟である。
原因は、郵政・郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生保を総括する日本郵政グループのネットワーク「PNET」の通信回線敷設が遅れたこと。そして2015年4月にソフトバンクが追加業務の報酬を求め、発注元である日本郵政の子会社の日本郵政インフォメーションテクノロジー(JPiT)に約239の支払を求めて提訴。JPiT側も、納期の遅れによる損害金約161億円を、ソフトバンクと野村総合研究所に連帯して支払うよう求めたものだ。
提訴から早8年、真っ先に感じるのはその“時代感”だ。2013年に始まったプロジェクトは、なにせメタリックケーブルから光ファイバーへの移行という代物。そしてもうひとつ感じるのは、金額の大きさ。日本郵政は日本で最も巨大な企業グループのひとつ。当時、2万7000拠点を結ぶ通信網というから、プロジェクトの完成で見込まれる削減コストも莫大だった。
加えて日本郵政は、この年2013年秋の上場を控えていた。IT業界ではよくあるトラブルだが、巨額な費用をかけてカタをつけねば格好がつかない。現在、ソフトバンクとJPiT双方が1審判決を不服としてともに控訴して高裁で争われているが、8年以上の歳月をかけて、電話帳の厚さの裁判記録は実に51冊。控訴した印紙代だけでもソフトバンク側は約5800万円、JPiT側は1980万円もかけている。
昨年2022年9月にあった地裁判決では、遅延の理由はソフトバンクにあるとして、約109億円の賠償をソフトバンクに、一方、追加業務の発生はJPiTにも過失があったとして、約19億円の追加報酬の支払を命じた。野村総研については双方ともに棄却されている。
正直、裁判の中身は遅延の原因や過失など、取材記者側からすると、極めて退屈な内容。それでも双方が納得せず、控訴したのだから、裁判は続く。コーポレートガバナンスの視点からすると、絶対に白黒を付けざるを得ない訴訟なのは分かるが、1審の判決文は243ページにも及ぶ大作で、裁判官も大変だと、余計な心配をしてしまう訴訟なのであった。
(#5に続く)