三栄建築設計「創業者が反社会的勢力と交際疑惑」上場の行方#2

第3四半期決算報告書の提出が遅滞する事態に

東証プライム上場の三栄建築設計で、創業オーナーが社長在任時に指定暴力団の住吉会系幹部男性との間で仕事上の接点があったことから、同幹部に金品が渡り、東京都の「暴力団排除条例」第27条の規定に基づいて「勧告」が出された前代未聞の“東証プライム企業と反社会的勢力との交際疑惑”問題。

三栄建築設計は勧告があった6月20日に経営トップの異動を、22日には「第三者委員会」の設置を発表し、26日には組織変更と「経営刷新会議」の設置、同26日には創業オーナーの影響力を徹底排除する「遮断モニタリング委員会」の設置と、矢継ぎ早に条例の遵守に向けた組織・人事の刷新と新体制の構築を打ち出したことは前回#1でも触れたとおりだ。そして7月13日、同社は反社問題を受け、2023年8月期の第3四半期決算報告書が提出期限の18日までに提出できない見込みであることを発表する事態にまで追い込まれている。

企業と反社会的勢力の問題に詳しい虎門中央法律事務所の荒井隆男弁護士(#1参照)は、三栄建築設計のこの間の動きについて、「必死に信頼回復に取り組もうとしている姿勢が窺える」としたうえで、以下のように語る。

「そこで注目されるのが、反社会的勢力問題に取り組む弁護士の間で言われる『ホワイト化』をどう達成するか、です。一度、暴力団と関係のある企業という色がついてしまったものを、どのようにして自浄作用を働かせれば、市場をはじめとするステークホルダーからの信頼を回復させられるか。そういった意味では、三栄建築設計が新設した遮断モニタリング委員会がホワイト化の施策として奏功するかが注目されます」