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【2024年11月26日「適時開示ピックアップ」】オリエンタルランド、ウエストHD、日本ビジネスシステムズ、人・夢・技術グループ、JR九州、レゾナックHD、ウイルコHD

11月26日火曜日の東京株式市場は3日ぶりに反落した。日経平均株価は前日比で338円値下がりし3万8442円。トランプ次期米大統領がSNSで中国などへの関税強化の考えを示したことで売りが先行した。そんな26日の適時開示は176件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

「オリエンタルランド」大株主の京成電鉄から自社株買い

東証プライムで東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(OLC)は、大株主の京成電鉄から自社の株式を買い取ることを公表した。買い取るのは最大1800万株としている。

京成電鉄は筆頭株主で、全体の21.15%の3億4674万株を保有(今年3月末現在)。京成電鉄も26日、この取引を公表し、目的について「成長投資や今後の金利上昇に備えた有利子負債の削減等を目的」と説明している。売却価格はこの日の終値の3435円で、売却総額は618 億円になる見通し。

ただ、京成については、OLC株をめぐる思惑から、英投資ファンドのパリサー・キャピタルが約2%を保有するうえ、先日では旧村上ファンド系の投資会社が京浜急行電鉄(京急)と合わせて京成株を買い増していることが報じられた。

今年に入って株価の低下が続くOLCだが、同社のコーポレートガバナンスの状況を見ると、今年、米寿(88歳)を迎えた取締役会議長の加賀見俊夫氏が1995年の社長就任から約30年の長きにわたって代表権を持つ体制が続く。その間、社長は入れ替わったものの、加賀見氏が事実上の同社トップとして君臨してきた。

大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に追い越されたとの言説も囁かれる中、株価はもちろん、カリスマ一強支配の行方を含め、今後が注目される。

【オリエンタルランド】自己株式の取得および自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による 自己株式の買付けならびに自己株式の消却に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241126529713.pdf

【京成電鉄】株式会社オリエンタルランドが実施する自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による 自己株式の買付けへの応募並びに特別利益及び特別損失の計上見込みに関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241126529089.pdf

太陽光発電「ウエストHD」決算訂正多発で“内部統制有効ではない”

東証スタンダード上場で太陽光発電のウエストホールディングス(HD、広島市)は、財務報告に係る内部統制について、「開示すべき重要な不備がある」として「(内部統制が)有効ではない」する報告書を財務省の中国財務局に提出した。

同社は、前日の11月25日、2024年8月期決算(10月15日発表)について、流動負債や営業キャッシュフローなど数多くの数値を訂正していた。ウエストHDは、「これらの誤りを社内の決算・財務報告プロセスにおいて発見できなかったことは、財務報告に与える影響が大きい」と説明。

この期から新たな連結会計のシステムを採用したが、「理解が十分でなかったことから必要な統制の設置がされず、決算数値の確認手続が十分に実施されなかった」としている。新システムが原因とのようだが、コーポレートガバナンスの根幹に関わる事象と言える。

【ウエストHD】財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241126529398.pdf

「日本ビジネスシステムズ」株主が“株主総会検査役”を申し立てる

東証スタンダード上場でクラウド支援の日本ビジネスシステムズ(JBS、東京・港区)は、株主が「株主総会検査役」の選任を東京地裁に申し立てたと発表した。

申し立てたのは、ケイマン諸島にある「Global ESG Strategy」 (グローバル イー・エス・ジー ストラテジー、GES) で、代表者として「ディレクター 門田泰人」との氏名が開示されている。株主総会は12 月20 日の予定で、「招集の手続及び決議の方法を調査させるため」としている。

なお、門田氏はスイスアジア・フィナンシャル・サービシズ最高投資責任者(CIO)としてもメディアに登場。その『ダイヤモンド・オンライン』の記事によると、申し立てたGESはシンガポールの投資ファンドと紹介され、その運営会社がスイスアジアと説明されている。

そもそも検査役は、株主と会社側が議案をめぐって対立する時に選任されることが多く、今後、注目を浴びそうだ。

【日本ビジネスシステムズ】株主による株主総会検査役の選任の申立てに関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241126529428.pdf

「人・夢・技術グループ」調査委が外注費の付け替え不正など認定

東証プライム上場で建設コンサルタントの人・夢・技術グループは、協力会社への委託費について調べていた特別調査委員会の報告書を公表した。

報告書は、不適切な会計処理として、①外注費の付け替え、②作業をした従業員などの付け替え、③売り上げの先行計上などがあったとした。調査委員会はまた、社内手続きの明確化や内部通報制度の強化などを提言し、外注先ともフェアな取引関係を構築するよう求めている。

プライム企業ながら、コーポレートガバナンス以前のコンプライアンス体制にも疑義を抱かせる調査結果と言える。

【人・夢・技術グループ】特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241125528932.pdf

「JR九州」子会社“高速船の浸水隠し”で3役員を解任

高速船「クイーンビートル」の浸水を隠蔽して運航を続けていた問題で、東証プライムのJR九州は、子会社のJR九州高速船の社長だった田中渉・取締役を解任した。ほかにも運行の責任者で取締役の柴田康祐氏と、安全面の責任者で取締役の小川仁氏も同様に解任。このほか、JR九州の古宮洋二社長が報酬の30%を2カ月減額すると発表した。

クイーンビートルは、福岡市と韓国のプサン(釜山)を結ぶ人気の高速船。JR九州は11月21日に第三者委員会の調査報告書を公表した。国土交通省も今年9月、同社に対し、行政処分である「輸送の安全確保命令」を発出し、安全統括管理者と運航管理者の解任命令も出していた。

【JR九州】第三者委員会調査報告書受領に伴う再発防止策のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241121527675.pdf

大手化学「レゾナックHD」が国際会計基準適用へ

東証プライム上場で化学大手のレゾナック・ホールディングス(HD)は、これまでの日本基準による決算に替えて、国際財務報告基準(IFRS)を適用すると発表した。2024年12月期から始める。

ただ、同期の決算短信などは日本基準でも作成するとしている。

レゾナックHDは、2023年1月に昭和電工と日立化成が統合して発足した。旧日立化成はIFRS を適用していたが、旧昭和電工に合わせて日本基準で決算を組んできた。レゾナックはIFRS適用の理由として、①財務情報の国際的な比較、②海外投資家への訴求力などを挙げている。

【レゾナックHD】国際財務報告基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241125528447.pdf

雇用調整金不正「ウイルコHD」追加監査等で特損6200万円を計上

本誌でも既報の東証スタンダード上場で印刷会社のウイルコホールディングス(HD、石川・白山市)は、2024年10月期の第4四半期に6200万円の特別損失を計上すると発表した。

同社では、雇用調整助成金の不正受給が発覚して8億6000万円を自主返還し、有価証券報告書も訂正した。今回、この不正受給に関連して追加された仰星監査法人による追加監査などの費用が6200万円になったという。

【ウイルコHD】特別損失(監査費用等)の計上に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241125529022.pdf

(平日連載、2024年11月27日公表分に続く)

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