「公益通報者保護法」改正案――“消費者庁出身”日野・淑徳大学教授が語る重要ポイント

2.フリーランスも「公益通報者」の対象に

2つ目は公益通報者の範囲拡大としてフリーランスが入ったことです。公益通報者保護法の第二条には「公益通報」ができる労働者を以下のように定義しています。

一 労働者(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者をいう。以下同じ。)又は労働者であった者 当該労働者又は労働者であった者を自ら使用し、又は当該通報の日前一年以内に自ら使用していた事業者(次号に定める事業者を除く。)

二 派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。第四条において「労働者派遣法」という。)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)又は派遣労働者であった者 当該派遣労働者又は派遣労働者であった者に係る労働者派遣(同条第一号に規定する労働者派遣をいう。第四条及び第五条第二項において同じ。)の役務の提供を受け、又は当該通報の日前一年以内に受けていた事業者

三 前二号に定める事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行い、又は行っていた場合において、当該事業に従事し、又は当該通報の日前一年以内に従事していた労働者若しくは労働者であった者又は派遣労働者若しくは派遣労働者であった者 当該他の事業者

これに今回の改正案では事業者と業務委託関係にあるフリーランスと、業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスも追加することになります。上記の通り、現行法では、公益通報者の範囲に継続的な取引先の労働者等も公益通報者の範囲に含まれていますが、より保護対象者を拡大したことになります。

ですから、企業は個々に契約しているフリーランスに対しても、内部通報を受け付ける際の窓口の整備、適切な調査等といった措置や、社内の周知徹底が必要になります。

フリーランスが公益通報の範囲に入った背景には、働き方が多様になっていることを踏まえており、昨年11月1日に「特定受託事業者にかかる取引の適正化等に関する法律(通称フリーランス新法)」が施行されたことも大いに影響があります。

何より企業に関わる多様な関係者から不正や違法行為の情報を収集し、早期に不正や違法行為の芽を摘み、自浄作用を高めることこそ、重要な視点だと考えます。