日本内部監査協会・土屋一喜代表理事「ガバナンスの“縁の下の力持ち”が脱皮する年に」【新春インタビュー#8】

干支のように「内部監査」が成長を遂げる巳年に

土屋一喜氏

ところで、内部監査部門は企業のみならず、各方面から注目されています。たとえば今年4月1日から施行される改正私立学校法。改正法では、学校運営を健全かつ効率的に運営するための内部統制システムの整備が求められています。つまり、理事や職員の権限の規定などをつくる必要があるのです。学校法人は規模や状況がまちまちで、われわれ日本内部監査協会でも、学校法人内部監査研究会をつくって対応しています。

さらに協会には、中央省庁や独立行政法人といった公的機関の会員も多く、国際的にも実はパブリックセクターからの参加が多いのです。もはや内部監査は株式会社に限ったことではないのです。

そんな状況下での2025年ですが、今年は巳年で「乙巳」(きのとみ)という廻りです。巳年は、蛇が脱皮する姿から、復活や再生、不老長寿といった強い生命力につながる縁起の良い年だそうです。さらに乙巳は「努力を重ねて物事を安定させていく」という意味合いがあるとも言います。

内部監査の立場からすると、組織の安定と成長持続、そして価値創造に貢献するために、経済的・法律的・技術的環境の変化に適応して、自らの監査行動も変化させながら努力を続け、成長を遂げる年にしたいと思っています。

併せて、今年は昭和の元号で言うと100年。約70年前に設立された内部監査協会ですが、まだ内部監査の理解が十分ではない時代から先人たちが心血を注いできたことに思いを馳せています。

今年は、内部監査に携わるみなさんが、これまで以上に社会に必要とされて、認識される年となるよう願っています。

(取材・構成=編集部)