髙田明・ジャパネットたかた創業者「ガバナンスを動かすのは他者への愛情だ」【新春インタビュー#5後編】

ガバナンスの問題は“人間力”である

ガバナンスの問題というのは、例えば上場企業ですと、社外取締役を置くとかになるのでしょうけど、結局は“人間力”ですよね。

僕が経営者として尊敬する一人に新将命(あたらし・まさみ)さんという先生がいます(1936年生まれ、2022年逝去。ジョンソン・アンド・ジョンソンなど多数の外資系企業で社長を歴任)。新さんが言っていますが、人間ってやっぱり「できる人」プラスアルファ「できた人」にならないと駄目だと。まさしくその通りだと思います。

組織が大きくなっていけば、「できる人」、そして「できた人」をどう育てていくかということが大事で、それこそ、人間力だと思いますね。そこがしっかりしている企業は一時的に何か問題が起きても乗り越えていく力を持っているんじゃないでしょうか。

上場企業であれば、社外取締役は何人いますとか、女性役員を何パーセントまで伸ばしましょうといった数値目標がありますよね。それはそれでいいでしょうが、やっぱり中身の部分、社外取締役で言えば、しっかりとした意見や見解が出され、提案されたものを経営者が受け入れていく下地が必要です。

制度があるのは当たり前で、それをきちんと動かす精神がないと、不祥事はなくならないでしょう。会社の成長に応じて社員もだんだん増えてくるし、そこに中途入社で入ってくる人もいるし、いろいろな性格や考えの人がいる中で、その人たちをどのようにして「できた人」にして、会社が求めるものの中に入れていくか。これが大きな課題になってくるわけですね。

では、人間力はどう養っていくか。やはり、それは「愛情」でしょう。

青臭い言葉に聞こえるかもしれませんが、“自分ファースト”ではなく、他人を想う気持ち。自分の子どもって、最高の愛情を注ぐものじゃないですか。それは社員も一緒なんですよね。そういう想いを僕はずっと持ってきたし、社員もそういうふうに感じてくれていると嬉しいです。

どこの会社でもそれは同じだと思いますけど、そうした愛情をベースに企業が動いているっていう雰囲気がジャパネットという会社には少しはあるんじゃないかな。

今年の抱負ですか? 僕は常に「今」を生きてきたんで、先のことはあんまり考えないんですよね(笑)。でも、2025年はね、何か新しいことをしたいと思いまして。先日(24年10月)亡くなられた俳優の西田敏行さんの「もしもピアノが弾けたなら」を覚えてね、今度カラオケ行った時、バシッと歌えるようにしたいですね!

そして、ジャパネットが手掛ける大型複合施設「長崎スタジアムシティ」でサッカーとかバスケットを通して長崎の夢や地域創生に貢献する取り組みを陰ながら応援し、成長していく姿をすごく楽しみにしています。

(取材・構成=編集部)