【ガバナンス道場#3】“ポリスマン”か“アドバイザー”か、それが問題だ!?「価値創造・戦略に貢献する内部監査」の薦め

内部監査の役割を考える

国際的な議論の方向性~戦略的アドバイザー、イネイブラー~

奇しくも、日本内部監査研究所の報告書と同日、内部監査の国際組織であるIIA(内部監査人協会)が達成すべき目標を取りまとめた「IIAビジョン2035」が公表された。同ビジョンでは、内部監査人の“戦略的アドバイザー”(Strategic Advisor)としての役割が強調されている。

また、欧米の先駆的な企業では、内部監査を、経営陣を献身的に支える“イネイブラー”(enabler)と位置づけるのがトレンドであるとも聞く。

ポリスマンからコンサルタントへ

内部監査の位置づけについて、「(不正の摘発・予防を目的とする)ポリスマンから(経営に貢献する)コンサルタントへ!」「企業価値向上に資する内部監査を!」といった議論は、筆者がビッグ4(4大国際会計事務所)の一角に所属し、内部監査の実務やアドバイザリー・サービスに携わり始めた1990年代においても、すでに行われていた。

折しもアジア通貨危機(1997年)が冷めやらぬ99年11月、タイのバンコクで開催されたIIAのアジア・パシフィック・カンファレンスにおいて、同国の財務大臣自らガバナンス改革における内部監査の重要性を切々と説いていたことは今も鮮明に記憶している。

価値創造プロセスにおける内部監査の貢献

その後、四半世紀が経過したが、はたして内部監査に求められる役割は変貌を遂げたであろうか。研究会では、経営としての価値創造プロセスを、経済産業省「企業と投資家の対話のための『価値協創ガイダンス2.0』」のフレームワークを参考に、

・パーパス(価値観)
・長期戦略
・実行戦略
・KPI(成果指標)

に分類し、グローバル企業における内部監査の貢献について、アンケート調査ならびにフォローアップ・インタビューを実施、多角的な分析と検討行った。

その結果、内部監査がただちに、企業の価値観や長期戦略に直接的に関与することは困難であるが、まずは実行戦略段階に積極的に関与することが重要であり、それがやがて、価値創造プロセス全体への貢献に繋がっていくと結論づけるに至っている。

実際、肌感覚としても、内部監査の貢献について議論する内容の深度も、ヒアリングを実施した企業の内部監査の水準も、報告書公表後のさまざまなステークホルダーの関心も、従前と比較すれば格段に上昇し、価値創造に貢献する経営の戦略的アドバイザーとしての役割に、着実に近づきつつあるとの印象を得ている。