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三菱製紙「検査データ改竄」問題の調査報告書を受領【5月13日「適時開示」ピックアップ】

東証プライム上場の三菱製紙は5月14日、子会社での検査データの改竄等を受けて昨年5月に設置していた特別調査委員会から調査報告書を受領したことを発表した。また、これに伴って木坂隆一社長以下、取締役5人が役員報酬を2カ月間自主返納するとしている。

新たな「データ改竄」も発覚

昨年2月、100%子会社である三菱製紙エンジニアリング(青森・八戸市)の旧白河事業所(福島・西郷村)で製造していた「耐熱プレスボード」について、一部、検査測定データを改竄、また、検査の一部を実施せずに出荷していたことが判明した。旧白河事業所の閉鎖(昨年3月)に伴い、耐熱プレスボードの製造を三菱製紙の高砂工場(兵庫・高砂市)へ移管する過程での発覚だったという。

これを受けて、三菱製紙は昨年5月、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の甲斐淑浩弁護士を委員長に、同事務所所属の3弁護士を委員とした特別調査委を設置し、調査を進めてきた。

調査の結果、耐熱プレスボードにおけるデータ改竄の経緯は不明ながら、遅くとも1980年には改竄が行われたことが明らかになっており、94~2023年の間で確認できたもののうち、7割強で改竄があったという。さらに、同じ旧白河事業所で21年まで製造されていた「クラフトプレスボード」についても、70年代から長期にわたって検査データが改竄されていたことも発覚した。

このほか、空気清浄フィルター製品や、八戸工場が製造する特定顧客向けコピー用紙等、そして子会社の旧KJ特殊紙(昨年7月に三菱製紙が合併)の製造製品でもデータが改竄されていたことが明らかになった。

特別調査委は原因について、売上確保のため、顧客との間で工程能力から乖離した厳しい顧客仕様に合意していたことで、数値を改竄する構造が生み出されたと指摘。また、「製品の実用上の品質に問題はない」などと、不正行為の正当化が行われていたとしている。そして、そうした悪習が慣例化する風通しの悪い企業風土があったと分析した。