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AGP非公開化提案で大株主「JAL鳥取社長」に最終判断の要請文書【5月13日「適時開示」ピックアップ】

AGP特別委員会「JAL鳥取社長宛て書面」の中身

内容は4項目にわたるが、JALの「コーポレート・ガバナンス報告書」(CG報告書)が突然、書き換えられたことに関する質問をその筆頭に挙げている。

書面によると、JALが今年3月24日付で開示したCG報告書では、AGPを上場関連会社として保有することの合理性、上場による企業価値向上が記載されており、さらに、「上場関連会社の意思決定プロセスへの当社の関与(事前承認、事前協議、事前報告等)はなく、関与を可能とする株主間協定等もありません」と明記されていたという。

にもかかわらず、今回の非公開化提案に当たっては、JALの執行役員側から事前協議等の要請を受けたことをAGP側は問題視。4月9日にJAL取締役に対して、この執行役員の要請とCG報告書との整合性を問い合わせる書面を送付したものの、いまだ回答はないとしている。

そんな中、JAL側は突如、4月25日付でCG報告書のガバナンス方針を差し替えたという。これはJALがAGPに対する株主提案を公表した日と同じ日だった。

この点について、AGP特別委はJAL鳥取社長に〈万一、市場に説明することなく、弊社からの質問を受けて突然CG報告書の内容を差し替えたことが、貴社の取締役の皆様の正式な方針決定に基づくものであるならば、その詳細な理由について、当該執行役員名によるレターではなく、貴社取締役会としての正式な判断を示す取締役署名付の文書による説明を求めます〉と要求している。

特別委の書面はこのほかにも、AGPは近年、ガバナンスを強化させる取り組みを続けてきたことと今回の非公開化提案との矛盾、JAL、ANAHD、日本空港ビル3社のみが株主となる非公開後の経営責任の在り方に関する見解などを質している。そして、その中には下記のような記述もある。

〈過去60年にわたり貴社から指名されてきた貴社出身の社長の就任から、2024年度は初めて当社出身者が社長に就任するとともに、当社独立社外取締役の存在が経営の透明性を向上させ、企業価値の向上に寄与しています。〉

ところで、AGPは今回のJALによる株主提案のプロセスについての客観性・透明性を確保するという目的で5月1日、取締役会の諮問機関として弁護士で公認不正検査士の山口利昭氏を委員長とする「ガバナンス検証委員会」を設置した。報告書は5月20日頃を目途に受領するといい、これを精査したうえで、AGPは取締役会の見解を開示するとしている。

一方、特別委の書面は、JAL側にもAGPガバナンス委の検証結果を確認のうえ、〈少数株主及びステークホルダーへの責任ある最終ご判断〉を求めている。

なお、非公開化において、少数株主の保有分は併合前の株数ベースで、AGPが買い取ることになっている。その買取価格は1株1550円。これに対し5月13日の終値は1528円だった。

18:00【エージーピー】株主提案に対する当社の今後の対応等について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250509538572.pdf