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大日本塗料「不適切行為」1年半調査実施の報告書を公表【5月12日「適時開示」ピックアップ】

新たに発覚した事案で再度、JISマーク表示の一時停止処分

調査が1年半(23年10月27日~25年4月25年)に及んだことについて、大日本塗料が取りまとめた調査報告書も〈長期に及んだ〉ことを認めている。実際、特別調査委は設置から半年後の昨年4月には事実確認を終え、昨年6月には報告書の案文を作成していたという。

ただ、その時点では岡山化工以外の不適切行為事案について、大日本塗料側から後述する「特定顧客」等への事前報告が行われておらず、同社から特別調査委に〈当社への委員会調査報告書の提出時期を上記の報告が終わった後にすることを希望した〉(報告書より)。

ところが、その準備を行っていた最中の昨年7月下旬、特別調査委に那須工場での不適切行為、加えて子会社のDNTサービス(大阪・東大阪市)におけるJISマーク表示に関する不適切行為が新たに報告された。

結果、23年10月に受けた岡山化工事案でのJISマーク表示の一時停止は昨年3月に解除されていたものの、昨年11月29日に新発覚事案でさらにJISマークの表示が一時停止されることとなった。このような経緯から調査が長期に及んだとしている。

特定顧客と取り交わした品質検査に係る不適切事案

ところで、冒頭で触れた通り、大日本塗料が今回公開したのは、特別調査委から受領した報告書そのものではなく、同社が〈固有の責任〉において取りまとめた報告書である。その理由を大日本塗料はリリースで以下のように記載している。

〈特別調査委員会の調査結果を原文にて公表することが当社のステークホルダーの利益を害するおそれがあると判断し、その利益に配慮しつつ説明責任を十分に果たすため、当社固有の責任において、以下のとおり本報告書をとりまとめました〉

そのうえで、〈一部の特定顧客事案について、特定顧客への報告および適切な処置を実施の上で、当該事案の性質上に鑑みて特定顧客の不利益を回避するために削除〉(リリース)したという。

というのも、特別委で調査された不適切事案の中には、岡山化工やDNTサービスの子会社での事案などのほかに、《特定顧客と取り交わした品質検査に係る不適切事案》なるものがある。

これは〈特定顧客と取り交わした検査の不実施等に係る不適切行為〉(報告書)で、13年頃から検査の不実施等が提案され、当時の経営層からも承認されていたという。報告書では、当時執行役員だった現在の里社長(18年6月社長就任)も検査不実施の提案がされた場に同席していたと、脚注に記載されている。

その後、18年頃には今回、報酬を自主返納した取締役も参加して検査不実施について議論、「塗料の品質は担保できている」と判断し、この旨を里社長らに報告。さらに20年頃にも、改めて検査不実施について認識する機会があったが、具体的な改善施策はとられなかったという。

大日本塗料は、検査不実施の不適切行為について「特定顧客」に報告のうえ、検査体制の是正や製品の品質確認などを行ったというが、〈特定顧客に不利益が生じることを回避するために、本調査報告書から事案の詳細を削除することとした〉としている。

17:00【大日本塗料】当社グループの不適切行為に関する調査報告書公表のお知らせ
https://www.dnt.co.jp/release/upload_files/news250512.pdf