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大日本塗料「不適切行為」1年半調査実施の報告書を公表【5月12日「適時開示」ピックアップ】

昨日5月12日月曜日の日経平均株価は3日続伸し、前週末9日比140円高の3万7644円で取引を終えた。同日の適時開示は941件だった。

「JISマーク表示一時停止」処分の品質不正

東証プライム上場の大日本塗料は5月12日、子会社を含むグループの「不適切行為」に関する特別調査委員会の調査結果を受領したことを受け、同社が取りまとめた調査報告書を公表。合わせて、再発防止策と役員の処分についても発表した。

事の発端は、2022年に大日本塗料が実施した「社内コンプライアンスアンケート調査」で、子会社の岡山化工(岡山・吉備中央町)において製品の品質検査結果を改竄するなどの問題行為が行われている可能性を認識したことだった。

これを受け、大日本塗料が情報収集を実施した結果、岡山化工でJIS(日本産業規格、旧・日本工業規格)認証を受けていた製品が検査結果を改竄したうえで出荷されていたことが判明。23年10月26日にはJISマーク表示の一時停止に追い込まれた。

そして翌27日、弁護士法人北浜法律事務所の籔内俊輔弁護士を委員長に、社外取締役の佐藤弘志氏(元・三菱UFJ銀行常勤監査役)と社外監査役の杉浦秀樹氏(元・三菱UFJ信託銀行グループ不動産営業部副部長)の2人を委員とする特別調査委員会を設置。以来、約1年半に及ぶ調査が開始された。

特別調査委は、調査の過程で岡山化工以外での不適切行為も把握、それらの原因を分析し、再発防止策を提言。

不適切行為の原因については、納期等のプレッシャーや「顧客の使用上問題がなければよい」との意識などが直接的原因となったとしたうえで、上司などに相談しにくい雰囲気といった企業風土、経営層による生産拠点等における状況の把握不足などのガバナンスや内部統制にも原因があったと結論付けた。

大日本塗料側は、特別調査委の提言を受けて、「品質を担保することが最優先である」というトップコミットメントを社内報で発信したほか、過度に厳格なルールをなくす一方、検査結果の自動入力、品質管理部門への不当な干渉を防ぐ組織体制の構築などを進めるとしている。

また、里隆幸社長(月額報酬50%を4カ月減額)をはじめ、6人の取締役が報酬を自主返納するという。

それにしても、報告書公表までに1年半を要したのはなぜなのか。